泣ける葬儀
いくつもの葬儀をやっていると、時々葬儀に対する感覚が鈍ってしまい、単なる「仕事」になってしまう時がある。
そんな時、私に「それではダメだ」と気付かせてくれるのは、故人に対する遺族の何気ない「一言」だったり、打ち合わせで訪れた自宅でふと見つけた、取るに足らない「何か」だったりする。
高校生の娘さんがリビングのカレンダーに書いた走り書き。
亡くなった母親の携帯を解約するのを忘れないように。
その人が確かにこの世に存在したという大きな痕跡が、ひとつひとつと消えていく。
娘がどの様な思いで、このメモを書いたのだろうか?
それは彼女しか分からない。
だが、あまりにも早すぎる母親の死を、彼女は必死に受け止めようとしている。
そう思った時、私は確かに葬儀屋としての原点に立ち帰らされる。
死者の魂を精一杯の思いで送り出す手伝いをさせていただく。
そんな葬儀屋の原点に・・・