感動する葬儀
世界を未曾有の大混乱に陥れた新型コロナウイルス。
日本にも経済的・精神的・肉体的・・・あらゆる困難をもたらし、今なお多くの国民がこの困難を克服できずにいる。
そんな中、この遺族にとっては、全てが困難という訳ではなかったようである。
広い心で読んでいただきたい。
亡くなったのは40代後半の女性。
中央省庁のキャリアとして、第一線で活躍する女性だったが、数か月前に癌が見つかり、検査入院することとなった。
検査の結果は、かなり悪いものだった。
女性は会社を辞め、治療に専念する道を選んだ。
それはそれは辛い抗がん剤治療だったが、夫は海外赴任中。
高校生の息子もいる。
泣き言ひとつ言わずに、懸命に辛くて苦しい治療に励んだそうだ。
しかし、癌の進行は凄まじく、これ以上の治療は困難と診断される。
最期の時は自宅で・・・
夫に最期を看取ってもらえないかも知れないことが、大きな心残りではあるが、息子と二人最期の時を過ごそう・・・
そんな女性を待っていたのは、予想外の出来事だった。
家で女性を出迎えたのは、最愛の夫。
実は新型コロナウイルスにより、海外にある事業所が閉鎖。
東京の本社への転勤を命じられていたのだ。
日本の海外からの帰国者受け入れ制限の問題もあり、急転直下での帰国が決定。
本人には知らせぬまま、大急ぎで帰国したのだった。
さらには新型コロナウイルスにより息子の学校も閉鎖。
最愛の家族と共に、最期の一カ月を自宅でゆっくり過ごすことが出来たとのこと。
女性にとっても、家族にとってもかけがえのない時間だったに違いない。
最期は最愛の家族に見守られながら、ひとつ大きく息をして、静かに逝ったという。
私自身、散々新型コロナウイルスに苦しめられている葬儀関係者のひとりだが、ほんの一瞬だけ、コロナウイルスへの激し怒りが和らいだことについては、どうかご勘弁いただきたいm(__)m