毒親から離れる方法
毒親と縁を切ったつもりでも、すぐまた元の関係に戻ってしまうということは、ありがちなことです。
自分を苦しめる存在とサヨナラしたくても、現実的にはなかなか離れられないのです。
毒親は子供をなかなか放さないし、あの手この手で接触してきます。
毒親は正に妖怪七変化です。
般若のような顔で怒っていたかと思うと、急に猫なで声で甘えてくることもあります。
泣き落としの手を使い始めたかと思うと、それが上手くいかなければ再び怒り出します。
ふと気付きましたが、DVを行う人の行動パターンそっくりですね。
子供は気付いた時には毒親のペースに巻き込まれているので、いつまでたっても自立ができません。
これにはあるメカニズムが潜んでいて、子供はそれに気付きません。
毒親との縁を切る決意は当然ですが、意識的に行うことです。
それは親とは関わらないのだという、自覚を持って生きようとすることです。
しかし、それだけでは親との関わりを断つことはできません。
なぜか?自分では毒親断固拒否のつもりでも、思考のコントロール権を親に握られているのです。
親に操られている子供にとって、親は自分より上の立場です。
力関係で言えば親は抗うことのできない相手なのです。
だから毒親は子供の恐怖心を煽ったりして、最終的には言うことを聞かせます。
親のほうが立場が上であること。
その証拠に、毒親は子供が何と文句を言ってもびくともしません。
毒親に正論を言うと、『親に対して何と言う口の利き方だ!』と言われるでしょうが、それ自体が理不尽な関係を象徴していると言えます。
従って、理不尽な毒親は、子供がどんな決意をしようとものともせず、攻め込んでこようとします。
子供はそういった親の気持ちなどを無意識に処理する結果、
- 親に対してはっきりと意見を述べようという気持ちが消えていく
- 親のことを美化しだす
- 親の支配下に置かれることを受け入れる
などの現象が生じてきます。
親に対して負けを認めたも、同然のことが起こるのです(子供本人が無意識にそうなる)。
ではどうすれば毒親と離れられるのでしょうか?
毒親から自立するために必要な環境
毒親はまっとうに立ち向かっては適わない相手です。
その毒性は強力で、視界に入れるだけでも悪影響を及ぼしてくる存在です。
人は目にしたこと、触ったこと、匂いなどから多くの情報を手に入れています。
当然、親に関する情報もこれまで沢山得てきているので、少し親を見ただけでそれらが思い起こされてしまうのです。
DMCされた子供は、毒親を見ただけで従順な子供を演じる条件反射が、起こってしまいます。
ですから、毒親持ちの人が自分らしく生きたいなら、なるべく親と接触を避ける努力をすることです。
ここからはその方法を書いていきます。
その1.家を出る
同居しているというのは、同じ空間を共有しているということなので、親の影響力は絶大です。
一人立ちできる年齢になったら、さっさと家を出ることが得策です。
ちなみに、毒親は物理的に距離をとったところで、電話やメールでしつこく接触を図ろうとします。
根本的に脱毒親できていないと、これらの連絡にうっとうしさを覚えながらも、律儀に対応するはめになるので注意が必要です。
私は大学生になって一人暮らしを始めてからも、ほぼ毎日のようにおはようコールとお休みコールがありました。
言い表しようのない気持ち悪さを覚えながらも、私はそれに付き合ってしまいました。
私の周りでいい年してそのような儀式的とも言える、決まった時間に決まったことをするような親は他に居ませんでした。
しかし、私の母は変なことをしているとは、思っていないようでした。
毒親の常識は世間の非常識です。
その2.外に居場所を作る
それから、自分が所属する場所を手に入れることも重要です。
例えば職場や、サークルなどです。
それらの場所に自分の意識を傾け、社会的な価値観を人と共有するようにしましょう。
現実的に実現しやすいのは、この項目(外に居場所を作る)だと思います。
追記:現代ならばツイッターなどのSNSで情報交換をすることも大変有効です。自分と似た境遇の人がきっと見つかるので、大変心強い味方になりますよ!
毒親の社会性は極めて排他的で独りよがりです。
一般的な感覚と相容れない独特なものを、子供だけにぶつけてきますので、子供としてはまともな人と繋がっておくことに大きな意味があります。
その3.普通の人と結婚する
最も効果的なのは、毒親と縁が無い人を配偶者にすることです。
まともな価値観を持つ人と一緒にいるだけで、健全な考え方が無意識の領域に染み込んでいきます。
決して与えられることのなかった自然体の感覚を感じることができ、新たな世界への第一歩となるでしょう。
ここでの問題は毒親に育てられた子は、少なからず親と同じような感覚を持ってしまっていることです。
まともな人からは、好かれない感性になっている可能性が高いんですね。
例えば私の場合は、自然に相手に優しく振舞うことが出来ません。
のびのびとした感覚を、当然の権利のようには持っていません。
こんな感覚だと、付き合う相手まで限定されてしまいがちなのです。
もし結婚できても、如何にして結婚生活を維持するか、これには努力を要します(経験上)。
しかし、幸せになるためなら頑張る価値はあります。
私の妻は脱毒親に協力的なので助かっています。
毒親から解放され自立するまでの流れ
さあ、ここからは実践編です。
毒親に正論を言うことは、支配された子供にとっては、とても難しいことです。
ですので、手順を踏んで距離をとっていくことが必要です。
私は少し前まで毒親にどんな酷いことを言われても、それを酷いことと認識できなかったり、親を否定したい時でも、何も言うことができませんでした。
しかしそれはおかしいと感じ始め、その見方を少しずつ変えてきました。
なお、直接毒親に物申す必要はありません。
聞く耳を持つ親ならいいですが、そうでない場合は話がこじれるだけだからです。
育てた親を疑い、文句を言っても構わない
罪悪感を感じることが、親を毒親だと断定することの妨げになるでしょう。
しかし、事実を事実だとはっきり認めることは、当たり前のことです。
もしあなたの身の周りに非常識な人がいたら、笑顔で許容するでしょうか?
その場では何も言わなくても、心の中ではその人のおかしなところを、はっきりと認識しているはずですよね。
それを非常識な毒親に対してはいい顔をして、親がおかしいことをはっきりと意識しないようにし、真実を見ないようにしながら過ごしているのです。
この親に対する甘い見方を見直すことが、毒親に立ち向かう第一歩となります。
私がしたことその1.ひたすら怒る
自分の過去を思い出して、少しでも親がおかしい場面が出てきたら心の中で親に怒りをぶつけます。
そうして毒親に対しても色眼鏡を使用しない練習をします。
親も一人の人間です。間違いを犯すことだってあります。
しかし毒親はそれを免罪符に、どんな間違いも仕方ないこととして押し通そうとします。
子供側としては親も一人の人間だからこそ、親を特別扱いする必要はないのです。
心の中なので、過剰にやっても構いません。
私などは(それは自分が悪いことなのでは…)と思うようなことまで怒りの対象に含めていました。
でも、そのときはそれでいいのです。
ここで、「育ててくれた親に対して怒りを感じるなんて、自分は間違っているのではないか。」と思う罪悪感のような気持ちが出てくるでしょう。
でも、間違ってなどいません。
間違っているのは親に対してだけ特別な見方をするそれまでの自分です。
ひとしきり怒れるだけ怒って、その気持ちに浸ってみましょう。
そのときのやり場のない気持ちが、あなたのそれまで生きてきた時に親に対して感じてきた本当の気持ちです。
その感覚は覚えておきましょう。
[st-kaiwa1]まずはありのままのあなたの気持ちを確認することです。[/st-kaiwa1]
今度は自分を振り返る
この段階ではまだ親に対する正常な見方はできていません。
親のどこがおかしいか何となくは感じていても、メカニズムの詳細は理解できていないからです。
まず親にされたことをクローズアップしてそれに対して怒りを感じるところから始めます。
私はある程度長期間にわたって怒り続けました。
そしてそれが落ち着いたとき、親のどこが悪いかはわかるのですが、肝心の自分が何も変わっていないことに気付いたのです。
そう、そこには親から酷い行為をされた「自分」が当時どのように感じたか、本来子供としてどのように扱われるべきだったのか、という視点が抜けていたのです。
毒親に立ち向かうには親の問題点を指摘すればいいと思っていましたが、これでは毒親を物理的に遠ざけることがせいぜいです。
結果、本質的にはそれまでの親子関係と変わりが無いこととなってしまいます。
そこで過去の自分に戻って、その時の心を見つめ、ある時点で止まってしまった心を再度動かすことが必要になります。
そのことが内面からのパワーを生み出してくれます。
そして、毒親と対等な位置に立って関係を考えることができるようになります。
私がしたことその2.過去の自分と出会う
自分が親に対して過去どんなことに傷つき、本当はどんなことを想っていたかを振り返りましょう。
完全に忘れている場合でも目を閉じて親への不快感をイメージしているうちに何か思い当たるはずです。
それが、自分自身が親に何かを訴えたかった場面です。
小さな子供だった自分は傷つけられたまま放っておかれたのです。
毒親は身勝手な理由で子供を傷つけている可能性が非常に高いです。
もし親によって傷つけられていたと感じたら、その感覚は決して忘れないようにすべきです。
そういう感覚を蓄積することが過去の全貌を解き明かすヒントになり、後々繋がってきます。
また、それら一連の心がけが親に対する今後の姿勢を創っていきます。
また、その傷つきが自分の今の人生を生き辛くしているかもしれないので、心の中で自分をしっかりと癒してあげましょう。
そうすると親に拘っていた自分の心がほぐれ、その場で停滞していた心が前に向かって動き始めます。
過去の自分に働きかけられる人は自分以外には居ないのです。
被害者だった自分が立ち上がる
過去の自分をきちんと認めて、過去の自分の心と共に歩もうとしたところで自分自身は変わり始めます。
それまでは親に対しては完全に目を瞑っていたのが、何やら払いのけたくなるような気持ちになってきます。
それは傷ついていた自分自身の心を救うことによって、前向きに生きる気持ちが生まれたのです。
つまり、自分の人生の邪魔をする人は例え親であってもおかしいと言うぞ、という姿勢に切り替わるのです。
こうして主体的に自分の人生を生きたい気持ちが芽生えてきます。
[st-kaiwa1]こうして、毒親に対して対等な意見が持てるところまで自分を上げていきましょう![/st-kaiwa1]
私がしたことその3.親との馴れ合いをやめる
ここまできたら、もう妥協せずに最後までいきたいところです。
私の場合、親と普段は疎遠なのに、会ったときだけは取ってつけたかのように愛想よく振舞うような、誤魔化しながら関係を続けるようなところがありました。
なにかきっかけを見つけては親に連絡し、顔をつないでおくような、そんな毒親の下に自ら飛び込むような愚行を犯していたのです。
それは長く続いてきた親との関係を終わらせたくないという気持ちがあったからだと思います。
しかし、その心が親に反省する機会を与えず、私の心が晴れないことへと繋がっているのでした。
どんなに酷い出来事があっても、私は数ヶ月後には毒親に普通に連絡してしまっていました。
時が流れれば自然とわだかまりが解けるという価値観だったのです。
このような価値観は毒親にとっては何と都合がよいことでしょうか!
毒親にとって子供とは何をしても許してもらえるやりたい放題の相手なのです。
何があってもこの関係は崩れることはないと毒親は考えていることでしょう。
だから毒親は何があっても明日には何も無かったかのように振舞います。
私は何があっても親と距離をとり、親が私に求めているような反応はしなくなりました。
かと言って、あからさまに拒絶したりして遠まわしに自己主張をしたりもせず。
大人になって冷静に話を聞き分けるようにしました。
もう鬱陶しく思いながらも本当は親とズブズブの関係で居たかった過去の自分ではなくなっていました。
案外親はそのことに何もつっこみを入れてきませんでした。
[st-kaiwa2]ここまできたら、あともう少し![/st-kaiwa2]
私がしたことその4.決して毒親に歩み寄らずに静観する
誘惑に負けない
アダルトチルドレンとなった子供は何かと理由をつけて毒親に近寄ろうとします。
親とトラブルがあったしばらく後に、
・十分自分の反抗タイムを設けたから、そろそろ親を許してあげてもいいだろう
・自分も成長したからもう親と対等な関係を築けるはずだ
・本当は親のことは好きじゃないけど、親孝行するのが世間の一般的な常識だ
こんなことを考えて自らそれまでの空白とのバランスをとるかのように親に近づき始めたら…
ちょっと待ってください!それじゃ毒親の手のひらの上で転がされているだけです。
毒親は決して歩み寄りません。
向こうから近づいてこなかった場合でも、実はしっかり口を開けて獲物(子供)がかかるのを手ぐすね引いて待ち構えています。
そして、もう十分時間がたったから関係も変わるだろうと期待する子供が痛い目を見るのです。
本当に許せない相手なら金輪際近寄ってはいけないのです。
毒親の本当の姿
近寄らない、かと言って、離れすぎない位置から毒親の正体を見極めましょう。
毒親と適切な距離をとって感情的にならずに相手を見ていると、そのメカニズムが段々見えてきます。
そう、毒親は子供が相手しようがすまいがずっと同じ調子で子供を圧迫しようとするのです。
その様子はまるで一人相撲をしているようにも見えます。
このことからも、毒親には自身の都合しか存在しないことがよくわかります。
もしも毒親のほうから心理的な距離をつめてきても動じず、冷静にいなしましょう。
毒親が言うことを聞かせられるのはコントロールをされた子に対してだけです。
コントロールを打ち破った子に対してはもはや何もできません。
こちらがコントロールされた子としてでなく、常識ある一人の人として親を観察すると相手がとても幼稚で、みじめで、独りよがりな存在に見えてくるはずです。
それが親の本当の姿です。
そのような相手から散々振り回されていたことを私は馬鹿馬鹿しく感じました。
しかしながら、ここで親を罵倒するのならまだしも、諭して改心させようとするのは絶対にやめましょう。
自分が発信することしか頭に無い毒親は、思考回路的に反省するはずがありません。
他人からの言葉を受け入れられない性格になっているのです。
毒親が変わるときがあるとすれば、自身が何かに気付いたときぐらいでしょうか。
しかし、そんなことに期待する必要もありません。
自立するという形をとって、親のことはもう考えなくてもよいのです。
私がしたことその5.親に対する姿勢を維持する
ここからは一生親と会うつもりがない人にとっては関係ないことですが…
過去の思い出の全てが辛いことでない以上、全てを捨てていくのは忍びない。
親を捨てるつもりが、それにまつわる自分自身の思い出まで何もかも捨てることになってしまう。
私はそれに抵抗を感じていました。
だから私はこれまでの記憶は捨てないけど、これからの親との関係では何も生み出さない、と決めました。
また、形式的なことであれ親とやり取りする機会は多少はあります。
そんなときに、私は事務的な態度を維持するように心がけました。
かつて幼い私が人知れず心の歩みを止めたように、親との関係を止めたのです。
それによって、親を赤の他人のような感覚で認識できるようになりました。
現在は連絡を取り合うこともほとんど無いですが、たまに親からメールが来たと思えば非常に引っかかる内容の書き方だったりします。
以前は正直に受け止めて真っ向から反応していた私も、「こんなメールを普通人に送るか?」と冷静に考えることができるようになってきました。
冷静に捉えることが難しいときでも、コントロールされるようなことは無くなりました。
↑この記事に書いているようなどうしようもないメールを送られても真に受けてしまうところがアダルトチルドレンの悲しいところです。
しかし、社会的な目を己に介在させることによって客観的な反応が可能になっています。(記事では私は怒りまくっていますが)
今後親との関係がどうなっていくか私にもわかりませんが、悪化していくことは無いと考えます。
ただし、それはこちらから決して歩み寄らず、油断はしないのが前提です。
今されているのは嫌なことだからやめて!と言っても一切聞き入れないのが毒親です。
そのような人に対しては自己完結させるべく、自分の気持ちの確認から、立ち向かって被害を防ぐところまで全て自分一人で行わなければなりません。
どこまでいっても毒親がいる限りリスクはついてまわることを承知しておく必要があります。
おさらい
1.毒親に対してひたすら怒る(自分への問題提起)
2.過去の自分と出会う(問題に対処する動機を固める)
3.親との馴れ合いをやめる(自分が傷つく原因を遮断する)
4.決して毒親に歩み寄らずに静観する(相手の正体を見極める)
5.現実的な親に対する姿勢をキープする(毒親を乗り越えつつ余計な傷は増やさない)
段階を踏んで毒親に立ち向かっていきましょう!