オリンピックの度に注目を集めるメインスタジアム。
開会式や閉会式はもちろん、花形の陸上トラック競技が行われるなど、大会を通じでメディアへの露出も多いだけに、そのデザインと出来栄えには国の威信がかかる。
夏季オリンピックのメイン会場をまとめてみた。
第1回夏季五輪(1896年)
★アテネオリンピック★
開催都市 | ギリシャ王国・アテネ |
スタジアム | パナシナイコスタジアム |
収容人数 | 80,000人 |
建設費 |
第2回夏季五輪(1900年)
★パリオリンピック★
開催都市 | フランス・パリ |
スタジアム | ヴェロドローム・ド・ヴァンセンヌ |
収容人数 | 50,000人 |
建設費 |
第3回夏季五輪(1904年)
★セントルイスオリンピック★
開催都市 | アメリカ・セントルイス |
スタジアム | フランシス・フィールド |
収容人数 | 19,000人 |
建設費 |
第4回夏季五輪(1908)
★ロンドンオリンピック★
開催都市 | イギリス・ロンドン |
スタジアム | ホワイトシティ・スタジアム |
収容人数 | 68,000人 |
建設費 |
第5回夏季五輪(1912年)
★ストックホルムオリンピック★
開催都市 | スウェーデン・ストックホルム |
スタジアム | ストックホルム・スタディオン |
収容人数 | 20,000人 |
建設費 | 約125万クローナ |
第7回夏季五輪(1920年)
★アントワープオリンピック★
開催都市 | ベルギー・アントワープ |
スタジアム | オリンピスフ・スタディオン (アントウェルペン) |
収容人数 | 12.771人 |
建設費 |
第8回夏季五輪(1924年)
★パリオリンピック★
開催都市 | フランス・パリ |
スタジアム | スタッド・オランピック・ドゥ・コロンブ |
収容人数 | 45,000人 |
建設費 |
第9回夏季五輪(1928年)
★アムステムダムオリンピック★
開催都市 | オランダ・アムステルダム |
スタジアム | アムステルダム・オリンピスフ・スタディオン |
収容人数 | 31,600人 |
建設費 |
第10回夏季五輪(1932年)
★ロサンゼルスオリンピック★
開催都市 | アメリカ・ロサンゼルス |
スタジアム | ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム |
収容人数 | 101,574人 |
建設費 | 95万4873ドル |
第11回夏季五輪(1936年)
★ベルリンオリンピック★
開催都市 | ドイツ国・ベルリン |
スタジアム | ベルリン・オリンピアシュタディオン |
収容人数 | 110,000人 |
建設費 | 4,200万ライヒスマルク |
第14回夏季五輪(1948年)
★ロンドンオリンピック★
開催都市 | イギリス・ロンドン |
スタジアム | ウェンブリー・スタジアム |
収容人数 | 82,000人 |
建設費 | £750,000ポンド |
第15回夏季五輪(1952年)
★ヘルシンンキオリンピック★
開催都市 | フィンランド・ヘルシンキ |
スタジアム | ヘルシンキ・オリンピックスタジアム |
収容人数 | 70,000人 |
建設費 |
第16回夏季五輪(1956年)
★メルボルンオリンピック★
開催都市 | オーストラリア・メルボルン |
スタジアム | メルボルン・クリケット・グラウンド・アリーナ |
収容人数 | 100,000人 |
建設費 |
第17回夏季五輪(1960年)
★ローマオリンピック★
開催都市 | イタリア・ローマ |
スタジアム | スタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ |
収容人数 | 70,634 |
建設費 |
第18回夏季五輪(1964年)
★東京オリンピック★
開催都市 | 日本・東京 |
スタジアム | 国立霞ヶ丘陸上競技場 |
収容人数 | 71,556人 |
建設費 |
第19回夏季五輪(1968年)
★メキシコシティオリンピック★
開催都市 | エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオ |
スタジアム | 222 |
収容人数 | 83,700人 |
建設費 |
第20回夏季五輪(1972年)
★ミュンヘンオリンピック★
開催都市 | 西ドイツ・ミュンヘン |
スタジアム | ミュンヘン・オリンピアシュタディオン |
収容人数 | 80,000人 |
建設費 | 1億3,700万マルク |
第21回夏季五輪(1976年)
★モントリオールオリンピック
開催都市 | カナダ・モントリオール |
スタジアム | オリンピック・スタジアム |
収容人数 | 40,000人 |
建設費 | 7億7,000万カナダドル |
第22回夏季五輪(1980年)
★モスクワオリンピック★
開催都市 | ソビエト連邦・モスクワ |
スタジアム | ルジニキ・スタジアム |
収容人数 | 103,000人 |
建設費 |
第23回夏季五輪(1984年)
★ロサンゼルスオリンピック
開催都市 | アメリカ・ロサンゼルス |
スタジアム | ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム |
収容人数 | 101,574人 |
建設費 | 95万4873ドル |
第24回夏季五輪(1988年)
★ソウルオリンピック
開催都市 | 韓国・ソウル |
スタジアム | ソウルオリンピック主競技場 |
収容人数 | 100,000人 |
建設費 | 1,025億ウォン |
第25回夏季五輪(1992年)
★バルセロナオリンピック★
開催都市 | スペイン・バルセロナ |
スタジアム | エスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス |
収容人数 | 60,000人 |
建設費 |
第26回夏季五輪(1996年)
★アトランタオリンピック★
開催都市 | アメリカ・アトランタ |
スタジアム | センテニアル・オリンピックスタジアム |
収容人数 | 85,000人 |
建設費 | 2億700万ドル |
第27回夏季五輪(2000年)
★シドニーオリンピック★
開催都市 | オーストラリア・シドニー |
スタジアム | スタジアム・オーストラリア |
収容人数 | 114,714人 |
建設費 | 6億9,000万豪ドル(680億円) |
第28回夏季五輪(2004年)
★アテネオリンピック★
開催都市 | ギリシャ・アテネ |
スタジアム | オリンピアコ・スタディオ |
収容人数 | 71,030人 |
建設費 | 2.65億ユーロ(357億円) |
第29回夏季五輪(2008年)
★北京オリンピック★
開催都市 | 中国・北京 |
スタジアム | 北京国家体育場 |
収容人数 | 91,000人 |
建設費 | 4億2,300万米ドル(525億円) |
第30回夏季五輪(2012年)
★ロンドンオリンピック★
開催都市 | イギリス・ロンドン |
スタジアム | ロンドン・スタジアム |
収容人数 | 80,000人 |
建設費 | 4億8600万英ポンド(633億円) |
第31回夏季五輪(2016年)
★リオデジャネイロオリンピック★
開催都市 | ブラジル・リオデジャネイロ |
スタジアム | エスタジオ・ド・マラカナン |
収容人数 | 74,738人 |
建設費 | 550億円(改修後) |
第32回夏季五輪(2021年)
★東京オリンピック★
開催都市 | 日本・東京 |
スタジアム | 国立競技場 |
収容人数 | 約68,000人(8万人規模の増設にも対応) |
建設費 | 1,569億円 |
東京五輪新国立競技場建設費が高い5つの理由
高騰する東京オリンピックのメインスタジアム。
新国立競技場の予算上限が1,550億円(実際は1,569億円)と決まった。当初の2,520億円と比べて約1,000億円の削減だ。
いや~やれば出来るじゃないか。組織委員会の諸君!
ってなるかー!!!
当たり前だ。
様々なサイトで取り上げられているので、ご存知の方も多いだろうが、上記の通り近年のオリンピックスタジアムは皆500億円前後で作られている。
酷暑の真夏開催にも関わらず、空調設備(100億円)まで削ってこの金額である。
では何故日本の新国立競技場は他のスタジアムに比べて、3倍~5倍も高いのだろうか?
消費増税や東日本大震災が全体的な建設費を押し上げたことは広く知られているが、そもそもの構造的な部分に焦点を当てて、原因を考察してみたい。
(修正を繰り返す前のザハ氏の東京五輪メイン会場デザイン原案)
地盤工事
最初に考えられるのが地盤工事に莫大な費用がかかる点だ。
現在の国立競技場一帯は以前河川だった為、地盤が極めて軟弱だ。その為、巨大な競技場建設にあたって、無数の巨大な杭が地中に埋め込まれた。
新国立競技場の建設では、この杭はを全て引き抜き、その後ゆるい地盤は全て取り除かれることが決まった。
100本程度と言われる巨大な杭は、引き抜いて処理するのに1本1億円程度かかるらしい!
杭1本1億円×100本=100億円!
こんなに単純で恐ろしい計算式は、そうそうお目にかかれるものではない。。。
更にゆるい地盤の土を全て取り除くのかかる費用は、およそ180億円と試算されている。
地盤工事だけで合計280億円。
果たしてそうまでして新しい国立競技場の建設が必要だったのか、と思わずにはいられない。
取り壊してしまった現時点では何を言っても後の祭りだが、だからこそもう少し慎重に協議を重ねるべきだった。
地下施設
軟弱な地盤を取り除くことについては先述の通りだが、競技場は地上に建設される。
よって地上の競技場の下に、取り除いた土の分だけ巨大な地下スペースが生まれる。
これがまた厄介な存在らしい。
というのも、折角出来た巨大なスペースを無駄にしてはならないと、様々な施設の建設が予定されている。
地下とはいえそこは都心の一等地だ。
金を積んだからと言って、おいそれと手に入る代物でもない。
駐車場などと共に、様々な組織や団体が関連施設を作ろうと躍起になっているらしい。
こうした設備建設に相当なコストがかかる見込みらしい。
遺産にしろ、新国立競技場の空きスペースにしろ、有れば有ったで、新たな問題を生む可能性をはらんでいるという訳だ。
耐震構造
世界トップレベルの地震大国日本。
近年では東日本大震災が東北を襲い、首都直下型地震はいつ起こっても不思議ではないとされる。
世界中から人が大勢の集まるオリンピックにおいて、8万人からの人が詰めかけるメインスタジアムに対する万全の耐震対策には、莫大な費用がかかることは想像に難くない。
建設業者
日本の建設業界は非常に閉鎖的だと言われる。
巨大な公共事業を請け負うスーパーゼネコンと言われる大手建設業者は鹿島、清水、大成、大林組、竹中工務店の5つ。
この半独占的な業界構造が価格の高騰を招くと言われるが、案の定白紙撤回される前の新国立競技場も、屋根が竹中工務店(950億円)、スタンドは大成建設(1,570億円)が請け負う予定だった。
言うまでもなく、異常に高い。
しかもデザインの段階では、デザイナーと施工業者のやり取りは一切ない。
コスト無視で選んだデザインを、いくらでも良いから作ってくれと、施工業者に渡せば、工費が急増するのは火を見るよりも明らかだ。
何か裏があるのではないかと、勘ぐらずにはいられない。
政治と金
先述したことにも繋がるのだが、建設業界と政治家の癒着に言及する人もいる。
政治とカネの流れに詳しい関係者は、『公共事業において、ハコ(建物)の建設費の5%が取り仕切った政治家に渡るのは、この世界の常識』とまで言い切る。
彼曰く、森元総理が莫大な工費を費やしてまで、年間10日程度しか使わないクラシック音楽コンサートの為の屋根を設置しようとしたのも、この為らしい。
詳しいことは分からないが、古今東西、洋の東西を問わず政治と金の結びつきは、根深いモノがあるというのが、一般市民の共通認識だろう。
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