良く分かる!株式会社戸田葬祭場
東京都板橋区にある戸田葬斎場。
荒川を挟んで対岸にある埼玉県戸田市にあると思っている人も多い様なのですが、れっきとした東京都内にある葬儀場/火葬場です。
では何故戸田市に無いのに戸田葬祭場(通称戸田斎場)と言うのでしょう。
また、運営はどこが担っているのでしょう?
戸田葬祭場の名前の由来
社長が『戸田さん』だから?
と言う訳でもないんですよね・・・
戸田市にゆかりのある企業だとか?
惜しいですが、ちょっと違いますね・・・
経営陣が戸田恵梨香さんの大ファンだったとか?
いや、葬祭場が出来た当時、戸田恵梨香さんなんてまだ生まれてないし・・・
冗談はさておき、実は建設された当時は荒川の対岸、つまり戸田市に位置していたからなのです。
建て替えなどで、位置が移動したわけではありません。
荒川の名前の由来と言えば、文字通り『荒れる川』から。
荒川の氾濫を防ぐために、大きく曲がりくねった水路をショートカットをして、真っ直ぐに引き直した結果、今まで後ろを流れていた川が、前を流れるようになった、つまり川を挟んで戸田市側にあった葬祭場周辺地域が、東京都側に位置する様になってしまったんですね。
『えっ?住所ですか?埼玉県戸田・・・いや、違った、東京都板橋区舟渡・・・』
川の流れが変わって、ある日を境に埼玉県戸田市から、東京都板橋区になってしまうとは、なかなか面白いですよね。
ちなみに戸田市は2020年現在も自治体が管理する火葬場が存在しない為、今も昔も戸田市民の火葬の大半は戸田葬祭場で行われています。
戸田葬祭場は民間企業が運営する株式会社
先日の葬儀で千葉から来た親族が驚いた様子で話しかけてきました。
いまさら何のこと???
一瞬頭が『はてなマーク』だらけに・・・
葬儀屋からすれば、博多ラーメンと言えば『豚骨』くらい当たり前のことですが、考えてみれば葬儀業界以外の人からすれば、そんなの知りませんよね。
改めて意識の違いに驚かされましたが、考えてみれば都内でこそ火葬場は民間斎場が大勢を占めますが、基本的に日本の火葬場は、地域を管轄する自治体が運営しているのが当たり前。
火葬場 = 公営
これがニッポンの常識です。
どう考えたって火葬場は利潤を追求する様な施設ではありませんから、都内以外の人からすれば(いや、都内の人の中にも)火葬場が民間の株式会社なんて、信じられないのも無理はありませんよね。
ちなみに戸田葬祭場は『株式会社戸田葬祭場』と、その完全子会社である『戸田葬祭サービス株式会社』という2つの民間企業が管理をしています。
- 式場本館
- 別館式場
- 戸田葬祭場霊安室
- 火葬場
- サービス館(アパートの様な作りの小さな式場)
- サービス館霊安室
- 納棺室
東京23区とその近隣の火葬場には、23区で6火葬場を運営する東京博善株式会社を始め、幾つかの民間火葬場が存在します。
何故都内だけ特殊な事情が存在しているのかは、下記の【火葬場の不思議(疑問)】火葬料金は?火葬時間は?営業時間は?】を参考にしてみてください。
火葬人数
戸田葬祭場には2020年現在15の炉が存在します。朝の9時から夕方の3時まで、全ての炉をフル稼働させれば、1日に90体近い遺体を火葬することが可能です。
それでも板橋区、豊島区、北区、戸田市、川口市、和光市、朝霞市、志木市などから多くの遺体が運び込まれる戸田葬斎場は、繁忙期の冬場になれば、火葬まで1週間待ちなんていうのもザラです!
2018年に川口市に公営火葬場(川口めぐりの森)がオープンしてから若干空いてはきましたが、それでもまだまだ予約が取り辛づらい火葬場です。
団塊の世代の大量葬儀時代の到来を目前にして、火葬場は圧倒的に不足しています。
政府主導のもと、早期の対応が求められるところです。
制服
戸田葬祭場には、参列者の案内をする多くの女性が働いています。
この女性の制服を見て、あれ?っと思った方も多いかもしれません。
紫のスーツにシャレた首のネッカチーフ、じゃなかった、スカーフ。
葬祭場のスタッフなのに、何かシーエーっぽい・・・
他の斎場の『ザ・事務員』って感じの制服とは、月とスッポンくらい違う。
『本日は東京発、福岡行き、JAL〇〇便をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。当機は間も無くいたしますと、福岡空港に向けて離陸いたします』
なんて声が聞こえて来そう。
そう!戸田葬祭場に勤務する女性の制服は、CA客室乗務員の制服をモチーフにしています。
数年前にトップがJAL出身者に変わり、葬儀場の暗いイメージを払拭すべく導入されたもの。
もっともそれを着る当の本人たちからの評判はイマイチなのは、ここだけの話ですけどね。
戸田葬祭場のランドマーク(モニュメント)
戸田葬祭場の火葬施設入り口にあるお別れ室には、高さ2mくらいの如来立像が有ります。
釈迦如来だったと思いますが、阿弥陀如来だったらすいませんm(_ _)m。
今度しっかり確認しておきます。
何れにせよ、仏様自ら故人をお出迎えしてくれるんです。
他の火葬場ではまず見たことがありませんが、この配慮が個人的には結構好きです。(仏教系以外の宗旨の人にはビミョーかも知れませんが・・・)
もし訪れる機会があれば、是非ご覧になってください。
え?行きたくない?
当然ですよね・・・
野辺送り
現在では霊柩車で柩を火葬場まで運んだら、そのままスタッフの手により火葬炉前まで移動させてしまいます。
しかし、葬儀を自宅で行うのが一般的だった時代、葬儀が終われば、人々の手により火葬場や埋葬地まで棺を担いで行く『野辺送り』が行われていました。
戸田葬祭場では、この野辺送りの風習を少しだけ体験することが可能です。
自宅に見立てた前室(お別れ室)でお別れをした後、柩は参列者の手により、回廊を通って火葬炉前まで運ばれます。
さすがに担いでいくことはなく、台車に乗せた状態ですが、東京都区部近郊で『野辺送り』が体験できるのは、戸田葬祭場だけでしょう。
舟渡斎場
戸田葬祭場に隣接する舟渡斎場。
こちらは板橋区の公営斎場(管理は近隣にある葬儀屋の組合が運営するNPO法人)で、板橋区民なら、格安で使える斎場となっています。
(区民以外も使用可能ですが、使用料は少々割高になります)
新しく霊安室も新設されました。
難点は火葬施設は備わっていない為、葬儀が終われば、隣接する戸田葬祭場で火葬が行われます。
いかに隣にあるとはいえ、一旦公道に出ます。これがほんの少しばかり面倒です。
まさか棺を担いで行く訳にもいかず、一瞬とは言え公道に出るため、戸田葬祭場までの遺体の搬送には許可を持つ車での移動が必要、つまり霊柩車が必要となる訳です。
隣なのにねぇ・・・
さいごに
どうですか?
あまり知られていない葬祭場の秘密に迫ってみました。
馴染みのない葬祭場が少し身近な存在に感じてもらえたら幸いです。
えっ!?
望んでないって???
まぁ、そうでしょうね・・・