みんなのお葬式体験談
みさなんの地域では遺体を火葬する際、炉のスイッチを押すのは誰の役目ですか?
火葬場に勤める火夫さん?それとも・・・
地域の変わった風習/しきたり
私の祖父の葬式の時のことです。当時私は大学生の頃で、祖父が亡くなったとの知らせを聞いて実家に帰りました。
時期はもう年末の頃でした。クリスマスも過ぎ世間は忙しい時期であったこともあり、友引の日に葬式を行うことになりました。
故人が誰かを一緒にあの世に連れていくといったことから、普通は友引の日に葬式はやらないことが多いのですが、時期も時期だったので参列者にも迷惑がかかるという理由でその日に行いました。
納棺の時にも祖父と一緒にお金に似たものを入れていました。これが例の三途の川の渡し賃かと思いましたが、小さい子が『なんでお金入れるの?』って、聞いていたら周りの大人はその子に『おじいちゃんが向こうに行って、お腹が空いた時に食べ物を買えるようにだよ』って、答えてました。
そうやって答えてあげるのかと勉強になったと同時になんかほのぼのとした感じになったことを覚えています。
私の生涯で初の葬式で、どう進んでいくのか興味深いものでした。
祖父も80才近くであったため雰囲気はそんな悲しい雰囲気ではありませんでした。
そこにお坊さんが数人で来られたのですが、周りの親戚の叔父さんたちが、「今日は坊さんが多いな。」、「友引だから他に葬式がないからか?」など冗談を言っていましたが。
葬儀も淡々と進み、出棺も終わり、火葬場へ。
そこで最後のお別れです。棺の中の祖父に最後のお別れの場面はさすがに昔の思い出が頭の中を巡り、もうこれで会えないのかと思うと涙がこみ上げてきました。
そして、炉の点火ボタンを喪主である父が冷静に押しました。私にも将来必ずやって来るわけですが、同じようにボタンを押せるかとしばらく頭の中から離れませんでした。
ひと言
何よりもまず、炉の点火スイッチ(正確には後述を参照)をご遺族が押すという風習に、びっくりしてしまいました!
炉の点火スイッチ
まずは誤解のないように、ひとつだけ。
あれは正確には点火スイッチではなく、『(火葬の)準備が出来ましたよ』という合図のスイッチです。
このスイッチが押されたことを確認した後、火夫(火葬場のスタッフ)が本物の点火スイッチを押して、火葬が開始されます。
それを踏まえてもう一度。
東京近郊にも様々な火葬場があります。もちろん私は仕事柄多くの火葬場に出向きますが、炉の準備OKスイッチを押すのはいつだって火葬場の職員(火夫)の役目です。
でも、そう言われてみれば昔参加した葬儀では、遺族が押していた気もするんですよね。
良くも悪くも効率化が進み、現在では職員が押す形態になっているんでしょうね。
意味合いは故人との決別。
けじめをつけるという点では良いことなのかも知れません。毎日毎日多くの遺体を焼いている火夫が事務的に点火する首都圏の火葬場より、よっぽど素晴らしい風習なのかも知れませんね。
でも・・・
自分が親の遺体を前にして、スイッチを押すことを想像すると・・・
ちゃんと押せるか、自信ないですね・・・
※全ての火葬場・全ての火夫と仕事をしたことはないので、中には東京近郊の斎場でも遺族に押してもらうケースもあるのかも知れません。
友引の日は火葬場が定休日
六曜(ろくよう)のひとつで、平たく言えば中国の占いです。六輝(ろっき)、宿曜(すくよう)などとも言います
- 先勝(せんしょう・せんかち)
- 友引(ともびき)
- 先負(せんぶ・さきまけ)
- 仏滅(ぶつめつ)
- 大安(たいあん)
- 赤口(しゃっく・せきぐち)
勝敗事において『(その日は)勝ち負けなし』の意味であり、本来は葬儀とは全く関係ありませんが、なぜか『友を引く』として、告別式を避けるようになりました。(通夜は出来ます)
葬儀には全く関係ないのですが、火葬場をはじめ葬儀屋など葬儀業界はいつ人が亡くなるか分からないため、休みをとるタイミングが難しい業界です。
そこでこの『友引』の迷信に便乗して、
【友引は火葬場が休み = 告別式ができない → うまいこと休みを取ろう】
となっているわけです。
しかし、時代の変化とともに『友引』や『三ヶ日』も稼働する火葬場が出てきています。
東京近郊では品川区にある臨海斎場や、千葉と埼玉の県境にある関宿斎場、神奈川県川崎市にある4つの斎場も輪番制で上記の休みなく稼働しています。
【火葬場が動けは告別式ができる = 休めない】
となるわけで、遺族の利便性は高まりますが、葬儀屋としては正直複雑なところではあります。
三途の川の渡し賃
六文銭は三途の川の渡し賃です。
これが準備できなければ、通行料として、渡り場を守る懸衣翁・奪衣婆に着ている衣服を差し出さなければなりません。

これが無くては大変です。ですから昔は六文銭(一文銭六枚)をお棺に収めました。
しかし、現在は土葬ではなく火葬の時代です。金属が溶け出して釜を痛める、あるいは骨にくっ付き、変色させる、などの理由から東京近郊にある大半の火葬場では付属品に金属類を入れることは禁止されています。
その為、代替品として紙にプリントされた六文銭を入れます。

中にはそれならばと、【燃えるお金】を入れる方達もいらっしゃいますが・・・

これ以上書くと発狂しそうになるのでこの辺りでやめておきます・・・
いずれにせよ、色々な風習があるものですね。