火葬場とペースメーカー
こんな質問をいただきました。
さて火葬は出来るのでしょうか?それとも出来ないのでしょうか?
火葬の可否
もちろん施設上の理由から無いに越したことはありませんが、そうかと言って、亡くなった後にいちいち取り出して火葬することも出来ません。
安心して、火葬場にお連れしてください。
※病院によっては、事前に取り出してくれる所もあります。
注意点
上記のとおり、火葬は問題なくしてくれます。
ただし、ひとつだけ絶対に覚えておいてほしい注意事項があります。理由と合わせて頭に入れておいてください。
以上です。
ペースメーカーの申告は義務付けられているので、葬儀屋に伝えておけば、そこから火葬場に伝わります。これが重要です。
火葬場に伝える理由
なぜならば、ペースメーカーは火葬中に破裂(爆発)することがあるからです。
メーカーによっては、破裂しないとか、状況によって破裂しないなどと言われており、定かではありませんが、ペースメーカーは基本破裂すると思ってください。
爆発犯!?テロと勘違い
私も何度か聞いたことがありますが、結構なボリュームの音量です。
公共の施設(都内は民間も多いですが・・・)で、爆発騒ぎとなれば、一大事です。
『爆発物と見られるものが爆破!現場は現在厳戒態勢の元、テロの可能性も視野に慎重な捜査が進められています!』
なんて事態にはならないでしょうけど、ちょっとした騒ぎになること必至です。
そんな事態を未然に防ぐためなのです。
ビビリ防止
上記の項目にも通じるとことがありますが、本気でビビるんですよ、あれ。
私も何度か不意に食らったことがありますが、何にも知らない状態で、「バーン!!!」ってくると、本気で心臓が止まりそうになります。
結構いい年の火葬場スタッフなんて、そのまま昇天しかねない。
現場スタッフの精神的な安全を保つためなのです。
火葬場スタッフの安全確保
今度は精神的なものではなく、肉体的な安全の方。
火葬の炉には監視窓と、遺体を効率良く焼くために内部をかき回す棒(デレッキ)を差し込む穴が設けられています。
万が一穴から破裂の衝撃で物が飛び出してきて、火夫(遺体を焼く火葬場のスタッフ)に当たったら、一大事です。
前もって分かっていれば、炉の中が落ち着いた頃合いを見計らって、中の状態を確認したり、デレッキを操作することが可能です。
そうして不測の事態を回避可能にする為にも、必ず事前に伝えておきましょう。
火葬場の本音と良心
高温で人間の遺体を焼く炉の内部は、なかなかにして高価でデリケートな作りになっています。
そうした箇所が破裂によって傷つくのは、当然防ぎたいものです。
また、火夫はなるべく骨を綺麗に残してあげたいと、神経を集中して遺体を焼いています。喉仏などはしっかり残してあげると、やっぱり遺族は喜びますからね。
ところが破裂により、骨が大きく破壊されてしまうことがあります。
まぁ、もっとも通常の火葬でも骨は崩れてしまう(特に高齢になればなるほど)ものですので、このあたりは気持ちの問題という面も大きいのですが、こうした理由により火葬場からすれば、ペースメーカーの入った遺体の火葬を避けたいというのが本当のところです。
しかし、最初に書いたとおり、それは出来ません。
そこで、『火葬はするけど、せめて事前に教えてね』というのが、火葬場の本音です。
まとめ
いずれにせよ、遺族は何も心配する必要はありません。
事前にペースメーカーを取り出す必要も、ペースメーカーが入っているからといって、日本国内では官民問わず、火葬を断られることも一切ありません(外国では断られるケースもあるようですが)。
事前に葬儀屋から火葬場に伝わっていれば、後で文句を言われることもありません。
安心して、火葬場にお連れください。