【とんでもない葬儀屋の話】
近くにある葬儀屋のおじいちゃん社長から電話が。
自社の納棺の出来るスタッフが、急遽出払ってしまっているとのことで、納棺を手伝って欲しいとのこと。
ご遺体はもうすでにが病院からご自宅にお連れして、納棺待ちとのことだが、兎に角時間が無いらしい・・・
仕方がないので急いでおじいちゃん社長に同行して納棺へ。
自宅に到着。
旅支度をして、無事納棺は終了。
その後副葬品(衣類/食べ物/嗜好品/趣味の物などなど・・・)を、お柩の中へ入れてもらった。
予定時間は少しオーバーしてしまったが、副葬品も一通り入れ終わる。
念のため(不燃物や危険物が無いか)副葬品をチェックしていた社長が、納められら写真や手紙の中に、故人と喪主のツーショット写真を発見。
どうやらお二人で、旅行に行かれた時の写真の様だ。
早速社長が動く。古いタイプの葬儀屋は、昔ながらの迷信にうるさいwww
母が亡くなって、早々に喪主まで引っ張られたら、他の遺族はたまりませんよ。
社長が早速喪主の葬儀まで狙う様な極悪人じゃなくて、ホント良かった!
って隣で私もひと安心。
すると一緒のいた幼稚園くらいの女の子(喪主の孫)が、慌てて喪主に一言。
早速社長が反応!
そう、社長が言い終わるか終わらないうちに、喪主が一枚の写真を拾い上げる。
そこには、一匹の犬が写っていた。
どうやら飼っていたペットのようだ。
それを見て社長が一言。
そう言って、喪主の手から写真を取って、再びお柩の中へ。
そう言いながら、慌てて写真を柩から取り出そうとする喪主。
喪主の手から写真を取り、またまた棺に納める社長。
うろたえる喪主様、目をキョロキョロさせるお孫様、涙見になる曾孫様。
でもそんなのお構いなしの社長。
って言い残して、霊柩車の運転手と僕を急かして、お棺を霊柩車に乗せ、そそくさと退散しようとする社長。
一応社長を弁護しておくと、確かに通夜までの時間が迫っていたのは事実。
本来斎場で葬儀屋が納棺する予定だったものを、急遽ご遺族の希望で、ご自宅納棺となってしまった為に、余計時間を食ってしまった訳だ。
まぁ、一番の理由は、年寄りから言わせれば、迷信の中身は理屈ではないのだ。昔から受け継がれてきた迷信は、『ごちゃごちゃ言わずに素直にそのまま聞け』と言うことなのだろう。
社長の言わんとすることも分らんでもないが、それでは遺族が可哀想だ。
仕方がないの斎場に急ごうとする社長を車内に待たせて、再び家の中へ。
引かれてしまうという迷信は、写真を撮られた人間の魂が、写真に写った自分にも宿る(吸い取られる)と信じられており、あくまでも該当するのは人間だけであって、動物には当てはまらないから安心する様に説明。
ついでに聞かれたいつくかの質問に返答。
ご遺族の顔に安心が戻ったのを確認した後、車に戻った。
ようやく車は斎場に向かって走り出す。
私が手伝って欲しいと言われたのは納棺だけ。斎場にお棺を下ろしたら晴れてお役御免だ。
それを聞いた社長。
あんたのせいやろがー!!!
このタヌキじじぃ・・・
いつか鼻に線香突っ込んでモクモク火ぃ点けてやる・・・(ウソ)
何はともあれ、写真を入れる時はお気を付けくださいね。
引かれる場合もあれば、引かれない場合もあるかも知れませんが、もし写真を入れた人が急死した場合、それが迷信かどうかは、誰も確かめようが無いんですから。
たって、本当に引かれたとしたら・・・もう本人には確かめようが有りませんからね。
死人に口なし・・・です。