【とんでもない葬儀屋の話】
※一部生々しい表現が含まれています。心臓の弱い方は、ご遠慮ください。
交通機関に多大な混乱を引き起こし、遺族にも多大な精神的苦痛や金銭的負担を強いると言われる鉄道人身事故。
そんな人身事故のせいでありえないとばっちりを喰らったかわいそうな葬儀屋の話。
それにしても大人の世界ってつくづく理不尽な世界ですよね・・・
通勤途中に、○○線で運悪く人身事故にぶち当たっちゃった訳ですよ。
遺体の回収は終わったようなんだけど、車体の点検とか何とかかんとかで、電車はぜんっぜん動かない!
どうやら衝突で機械のどこかがイカれちゃったらしい。
最初は余裕ぶっこいてたんだけど、あまりに動かないんで、仕方ないから会社に電話したら社長に、
って怒鳴られた訳ですよ。
バカヤロー!って言われても、オイラが悪いのか?って半ベソかきながら、泣く泣く別の線に乗れる駅まで走った訳ですよ。
どうやらご遺体の引き取りが重なって、社内も大忙しだったみたいで、
なんて、電話口で大人とは思えないトンデモ発言かますもんで、このクソ寒い2月の空の下、汗だくで走りましたよ。
そもそも「どこでもドア」持ってたら、葬儀屋なんかに勤めるか!!!
ってわめき散らしながら、疾走していたことは、ここだけの話。
それにしてもこんなに全力疾走したのは、中学生以来・・・。
もう心臓が危ないよ!
誰か「救心」を!!!
翌日、昨日から問い合わせがあったらしい、警察案件(事件・事故・自宅死亡等の病院以外での死亡)の仕事が正式に入った訳よ。
遺族曰く、どうやら遺体の損傷が激しくて、ぐちゃぐちゃらしい・・・。
そんな状態だから、誰も警察に遺体の引き取りに行きたがらない訳。
んでもって、昨日の忙しい時間に、大遅刻してきたからっていう理由で、オイラが遺体の引き取りを命じられる羽目に。
どんな罰ゲームだよ・・・
決まったもんはしゃーない。警察まで飛んで行きましたよ。そんで担当刑事に話聞いたら、昨日○○線に飛び込み自殺したご遺体だって!
ってオーイ!
だからそのせいだって!その事故のせいでオイラは遅れたんだって!
そんでもってそのお陰で、めでたく?オイラはここにいる訳よ!
チクショー!チクショー!チクショーーー!!!
ちゃぶ台があったら、ひっくり返してるとこですよ!
しかも担当刑事が
「昨日の夕方、電話を頂いた社長様には○○線の事故の方ということは伝えましたが」とか言ってるし!
じじぃ!知ってたんじゃねーか!
怒り心頭!棺担いで、遺体の安置してある霊安室に殴り込みかけましたよ!
ご遺体の顔を一目見て、
(何でこんなことしたんだー!家族が悲しむだろー!それに周りの親戚だの知人だの、そして、ちょっぴりオイラも大変じゃないかー!)
って、心の中で恨み節のひとつも言ってやろうと思いまいして・・・
でもって、勢い良く遺体を包んでいるシートを広げましたよ!
そしたら・・・
あれ???
そこにあったのは、ズタボロになったひと盛りの肉片の山・・・
顔なんて巨大な鉄の化け物に粉々にされちゃって、跡形も無いんですよね・・・
半分潰れた目ん玉だけが、心なしか申し訳なさそうに、遺体が載せられた鉄板の床にコロコロ~って。
まぁ冷静に考えたら人身事故の遺体なんて、そんなもんですよ・・・
結局・・・
しか言えなかった・・・
皆さん、どんな方法にせよ自殺なんて、惨たらしいだけですよ。
よーく、よーく、考えてから、お願いします。
何はともあれ命は大切に!
それにしてもなんだよね・・・世の中って、半分以上理不尽で出来てるよねって思ったとんでもない葬儀屋の話。