【とんでもない葬儀の話】
葬儀は一度に多額のお金が必要となります。
2019年の法改正により150万円を上限として、故人の凍結後も葬儀等にかかる費用の引き出し(仮払い)が可能になりましたが、それ以前はお金の工面が本当に大変でした。
そのせいか、『死亡届を役所に出すと、自動的に本人の銀行口座が凍結されて、預金が引き出せなくなる』という都市伝説が、今だに多くの遺族を恐怖に陥れています。
しかしこれは100%間違った情報であり、そんなことは一切ありません。
この手のデマやウソに踊らされてはいけません!
今回はまだ法改正がなされる前に『銀行凍結事件』に翻弄された遺族の話。
80代男性の葬儀を担当。
葬儀を2日後に控えたある日、喪主様(故人の長女)から電話がかかってきた。

もしもし、色即是食ぅさん、死亡届ってもう役所に出しちゃったわよね?
いえ、まだ提出しておりません。明日出す予定にしております。

そうなの!?でもおかしいわね〜。今ね、お友だちが死亡届を役所に提出したら、(故人の口座から)銀行でお金が下せなくなるから、早くお金を下ろした方が良いって言われて、慌てて銀行に来たのよ。そしたらもう凍結されて、下ろせないって・・・
うーん、そうですか。でもそもそも死亡届と銀行口座は連動してませんけどね。

えっ!?どう言うこと!?
よく勘違いされるんですが、死亡届を提出したからといって、役所から銀行に連絡が行くことは一切ありませんよ。

えっ!?そうなの???
間違いありません。

じゃあどうして凍結されちゃったのかしら?
銀行も様々なところにネットワークを持ってますからね。そうした所から情報が入ってくれば、凍結されます。ですので、死亡届を出しても出さなくても、凍結される時は、凍結されますし、凍結されない時はされません。

初めて知ったわ。でも一体どこから情報が漏れたのかしら?ホントの身内だけの家族葬だから、周囲にも一切言ってないのに・・・
昔は訃報とか回覧板とか・・・他のご親戚様とか・・・今なら例えば入居してた施設さんの関係とか、はたまた思いもよらないルートだったり。ケースバイケースなので、詳しくは分かりませんが・・・

まぁ、運が悪かったとしか言いようが無いわね。私が一旦立て替えるしかないんだけど、妹たちもお金にシビアだから。後から色々大変そう・・・
あれこれ愚痴を溢す喪主さん。

それにしても銀行も冷たいわよね。葬儀代ぐらい下ろさせてくれてもいいのに!
喪主さんの愚痴は続く。

友達からはATMで毎日少しずつ下ろせって、言われたんだけど、いつ凍結されるか分からないじゃない?だから窓口で一括で下ろしちゃおうと思って…『 本人の葬儀代下ろしたいから』って言ったら、『出来ません』ですって。 ホント嫌になっちゃう。
えっ!?今何と???

だから、『葬儀でお金が必要だ』って言ったのよ。そしたら『本人は亡くなったんですか?』だって。死んだから葬儀代下ろしに来たに決まってるじゃない。馬鹿にしてるわよねー。
言ったんですか?『本人が亡くなったから、葬儀代下ろしたい』って?

言ったわよ。だっていきなり老人が大金下ろしたいって言ったら、このご時世、色々疑われるじゃない。振り込め詐欺じゃないかとか。
それやんけー!!!
“(*`ε´*)ノ彡☆バンバン!!
喪主さん、銀行が口座を凍結するのは、本人が亡くなったことを知ったその瞬間です。そして、窓口の口振りからして、ご自身が行くまで、銀行はお父様が亡くなった事実に気付いていなかったと思います。分かりますか?

えっ!???
・・・・・・

( ̄□||||!!
謎は全て解けた!犯人は・・・

もしかして・・・ワタシ!?
です!!!
気付いちゃった、気付いちゃった、ワ〜イワイ
説明しよう!
葬儀とは亡くなった人を弔う儀式である!
それを聞いた銀行は当然『亡くなりました?』となる訳で、『YES』と答えた時点で、
ジ・エンド!!!
諦めなくてもそこで【試合終了】です!
葬儀だけに・・・【墓穴を掘る】とはまさにこのこと。
せめて情報の出どころがわかって良かったね汗
って思ったとんでもない遺族の話。