【死別】〈愛する父親との別れ〉天国に旅立った親父殿へ

親との死別体験談

この世に生まれてくる命がある。

あの世へと帰っていく命がある。

自らの手で断たれる命がある。

生きたくても生きられない命がある。

この世の命の不思議・・・

父親を胃がんで亡くしました。

息子である自分よりも早く亡くなるのは自然の摂理であるとはいえ、やはり実の父親を亡くすというのは相当に心に来るものがありますね。

それでも余命6か月の宣告を受けてなお2年以上も生きてくれて、家族に心の準備をさせてくれたのはとても感謝しています。

・・・・・・

わたしがあなたの病気を知ったのは本州に仕事に行っていた時でしたね(専門学校へ行くための学費を稼ぎに出稼ぎに)。

その日は仕事休みで部屋でくつろいでいた時に母から電話があり、あなたの病気のことを知りました。

すぐにでも実家に戻りあなたの看病をしたいと思いましたが、あいにく仕事の契約日数が2か月ほど残っており、それが終わるまでは戻れないのが歯がゆく感じました。

仕事を放っておいてあなたに会いに帰っても、あなたは絶対に怒ってわたしを追い返していたと思います。

もし死に目に会えなかったらと思うと、大きな恐怖を感じたのを今だに覚えていますが、とにかく契約を満了してから帰ろうと思い、残り2か月の日々を今か今かと過ごしていました。

ようやく契約が満了し地元に帰り、入院しているあなたに会えた時にものすごくホッとしました。生きているあなたに会え、話が出来る事に。

地元に戻ったわたしは、母と1日交代で見舞いに行きました。

生まれてこの方あなたとこんなにも話をしたことはありませんでしたね。

あなたは基本無口で、家にいても会話という会話はあまりした覚えはありませんでした。

見舞いも1時間ほどでしたが(がんの影響で体力が持たなく長く居ては疲れさせると思い)できうる限りいろんな話をしましたね。

わたしが地元に戻り、あなたが亡くなるまでの3か月間一番あなたと顔を合わせ会話をした感じがします。

しかし未だにわたしが悔いているのが、あなたの死に目に会えなかったことです。

あなたが亡くなる前日にわたしは東北へバイク旅に出発しました。

出発する前にあなたに会い、その時はとても元気で1週間ぐらいは問題ないと思いました。

「お土産話を楽しみにして待っててね」といったわたしに対し、笑顔で送ってくれたあなたの顔を今も覚えています。

フェリーで休んでいた時に母からの着信があり、その時は海上で電波が無く本土に着くまで気が気ではなかった事を思い出します。

本土に着き母に電話して案の定あなたの悲報を聞きました。

なぜあと1日地元に居なかったのか自分をとても責めました。地元にいたら死に目に会えたのにと。

それからはあなたの通夜、告別式、火葬を施主として滞りなく務めたと思います。

あなたが入院してからは一緒にお酒を飲むことも出来なくなりました。

わたしがそちらに行った際はもう一度一緒にお酒を飲みましょう。

あなたの息子でとても幸せでした。

故人(当時)の年齢 69歳
死因 胃がん

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