航空機(飛行機)墜落事故犠牲者ランキング
世界各国の軍隊が保有する戦闘機・攻撃機・爆撃機・輸送機・救難機・ヘリコプター・・・
それら軍用機における航空機墜落事故ワースト10。(戦闘時は除く)
戦闘機などは定員も少なく、回避能力も高いため、民間機ほど大きな被害は出にくい軍用機の事故。軍事機密的な観点からも、民間機ほど公にはなりにくいの特性もありますが、かなりの事故が起きているのも事実。
有事(戦闘中)以外に起きた輸送中の事故や航空ショーでの事故を、人的被害の大きい順にまとめてみました。
※ランキングは地上の犠牲者を含まず。
ワースト1位
★2003年イラン革命防衛隊Il-76MD墜落事故★
発生日時 | 2003年2月19日 |
所属部隊 | イラン革命防衛隊 |
機材 | イリューシンIl-76MD |
墜落地 | イラン・ケルマーン |
犠牲者 | 275人全員 |
★機体
ロシアのイリュージョン設計局が製造した大型ジェット輸送機。現在は貨物用に改装されたものが多いが、旅客機に換装されたものもある。
★事故概要
イランの軍事組織、イスラム革命防衛隊の軍人を乗せた軍用機が、ケルマーン国際空港に向け着陸動作中に山岳地帯に墜落した。
原因は操作ミスだが、強風と濃い霧という悪天候が操作ミスを引き起こしたとされる。
軍用機による世界最悪の事故。
ワースト2位
★2018年アルジェリア空軍Il-76墜落事故★
発生日時 | 2018年4月11日 |
所属部隊 | アルジェリア空軍 |
機材 | イリューシンIl-76MD |
墜落地 | アルジェリア・ブファリク空港 |
犠牲者 | 257人全員 |
★事故概要
アルジェリア空軍機が空港を離陸した直後に墜落し、爆発炎上した事故。同国軍人やその家族、サハラ難民キャンプの人間、また同国の支援を受けてモロッコと対立するポリサリオ戦線の兵士などが登場していたが、全員死亡した。
離陸直後翼が燃えていたとの証言があるが、詳しい原因は分かっていない。
イリューシンIl-76MDの墜落事故が、軍用機の墜落事故被害のワースト1・2を占める。
ワースト3位
★オペレーション・ベビーリフト墜落事故★
発生日時 | 1975年4月4日 |
所属部隊 | アメリカ空軍 |
機材 | ロッキードC-5ギャラクシー |
墜落地 | ベトナム・サイゴン |
犠牲者 | 138人 |
★機体
アメリカ軍が運用する世界最大級の軍事用超大型長距離輸送機。アメリカ軍が運用する全ての戦車を始めとする戦闘車両や航空機の運搬が可能。「ギャラクシー」は愛称。
★事故概要
オペレーション・ベビーリフトとはベトナム戦争中にアメリカ軍が行った南ベトナム人孤児の大量避難計画。
戦時中南ベトナム人の孤児をアメリカ家庭が養子として引き取るケースが増え、戦争末期には30回のオペレーションが実行され、3,300人以上の孤児が西洋諸国に移送された。
事故はその第一回の作戦集に起きた。離陸直後に爆発音と共に急減圧。一旦は落ち着いたが再びコントロール不能に陥り、時速500キロで地上に激突した。不完全とは言え不時着を試みたことが功を奏し、314人中176名が生還した。
原因は整備不良だった。戦争末期で部品不足に悩まされていたアメリカ空軍は、部品の使い回しをしていたが、この機体では14個あるハッチロックのうち3個は事故当時別の機体で使うために取り外されていた。これにより上昇での気圧の変化に耐え切れず、後方貨物ドアのハッチロックが外れてしまったことが墜落の原因だった。
ワースト4位
★2015年スマトラインドネシア空軍C-130墜落事故★
発生日時 | 2015年6月30日 |
所属部隊 | インドネシア軍 |
機材 | ロッキードC-130ハーキュリーズ |
墜落地 | インドネシア・スマトラ島・メダン |
犠牲者 | 122人全員(搭乗者) |
犠牲者 | 17人(地上) |
★機体
アメリカや日本を始め、世界69カ国で運用される軍事用輸送機のベストセラー。軍事用の輸送機としては非常に優れた能力を有しており、「世界最高の輸送機」との呼び声も高い。
愛称の「ハーキュリーズ」はヘラクレス(ギリシア神話)の英語読み。
★事故概要
インドネシア軍の大型輸送機、ロッキードC-130ハーキュリーズが、空軍基地から離陸して2分後に住宅地に墜落した。12人のクルーとその家族の他、違法でありながらお金を払って登場した一般人など122人の搭乗員は全て死亡した。
また、地上にいた多くの住民が、巻き込まれ17人が命を落とした。合計の死者としては、オペレーション・ベビーリフトの死者を上回る。
インドネシア軍では2009年にも同型機が墜落し、乗員と住民98人が死亡する事故を起こしているが、その他にも近年は老朽化による事故が絶えない。 今回の墜落原因も老朽化によるエンジンの不具合との見方が強い。
ワースト4位
★ミャンマー空軍Y-8墜落事故★
発生日時 | 2017年6月7日 |
所属部隊 | ミャンマー空軍 |
機材 | 西安飛機工業公司Y-8F-200 |
墜落地 | ミャンマー・アンダマン海 |
犠牲者 | 122人全員 |
★機体
オリジナルは旧ソ連・ウクライナのAn-12B型輸送機。中国にライセンス生産される目的で輸入されたAn-12Bだったが、中ソの対立によりとん挫。中国政府が輸入済みだったオリジナル機を分解、コピー生産した機体がY-8。
★事故概要
ミェイクからヤンゴンを目指していたミャンマー空軍機が、突然消息を絶った事件。その後の調査で海に散乱する残骸や遺体が発見され、正式に墜落したことが確認された。残骸や遺体が広範囲に渡っていたことから、空中分解した可能性が高いと言われている。
嵐雲に突っ込んだことにより、制御不能となったことが原因だと推測されるが、何故操縦士がレーダーにより容易に捕捉&回避が可能な嵐雲に、わざわざ突入したのかは不明。
ワースト6位
★2009年インドネシア空軍L-100墜落事故★
発生日時 | 2009年5月20日 |
所属部隊 | インドネシア空軍 |
機材 | ロッキード L-100-30 |
墜落地 | インドネシア・ジャワ島西部 |
犠牲者 | 98人(乗客・住民) |
★機体
ロッキードC-130ハーキュリーズ軍用輸送機の派生機種。
★事故概要
インドネシア空軍の輸送機が兵士とその家族109人を乗せて、パプア州に向かう途中で墜落。住宅4軒を破壊し、バウンドしながら水田に突っ込み爆発炎上した。
輸送機に登場していた乗客と地上にいた住人98人が死亡した。乗員19人は救出されている。
ワースト7位
★ポーランド空軍Tu-154墜落事故★
発生日時 | 2010年4月10日 |
所属部隊 | ポーランド空軍 |
機材 | ツポレフTu-154 |
墜落地 | ロシア・スモレンスク北飛行場手前 |
犠牲者 | 96人全員(搭乗者) |
★機体
ロシア産の旅客機。現在よく見る両翼の下にエンジンが配置されている機体とは異なり、機体最後尾(垂直尾翼)付近に三基のエンジンが取り付けられている。
世界的に見ても政府専用機は軍が管理することが通例となっており、ポーランドの政府専用機もポーランド軍が管理している。(日本の政府専用機は航空自衛隊が管理)
★事故概要
第二次世界大戦中、ロシアによって大量のポーランド人が殺された「カティンの森事件」。その「カティンの森事件70周年追悼式典」に出席するため、ポーランド大統領夫妻をはじめ、多くの政府要人、軍関係者を乗せた大統領特別輸送機が開催地ロシア連邦スモレンスクへと向かっていた。
着陸予定のスモレンスク北飛行場は吹雪により視界が悪く、ロシア政府は別の空港への着陸を要請したが、ポーランド政府は従わなかった。また、無謀な操縦を繰り返す機長に対し、ロシア側の管制官は再三注意を促したが、これにも従わなかった。 3度目の着陸挑戦に失敗し、4度目の着陸に向け、体勢を立て直そうとしたところ、高度が低すぎて主翼が木に接触。バラバラになりながら爆発炎上した。
大統領夫妻を始め、全軍のトップ、陸・海・空のトップなど、政府の要人を含む全員が死亡した。
「カティンの森事件」が絡んでおり、ロシアの陰謀説なども囁かれたが、ロシア政府は別の空港への着陸を正式に要請しており、墜落には一切関係ないと思われる。
ワースト8位
★2016年ロシア国防省Tu-154墜落事故★
発生日時 | 2016年12月25日 |
所属部隊 | ロシア国防省 |
機材 | ツポレフTu-154 |
墜落地 | ロシア・ソチ近くの黒海 |
犠牲者 | 92人全員 |
★事故概要
ウクライナ空軍の展示飛行チーム「ウクライィーンスィキ・ソーコルィ」所属の2名のパイロットが、空軍所属のSu-27UBを使用して、アクロバット飛行を披露している最中にコントロールを失い、地上、他の飛行機に接触。制御不能となり観客エリアに墜落、爆発炎上した。
パイロット2人は脱出して無事だったが、大勢の観客が死亡。バラバラになった遺体が散乱する、史上最悪の航空ショーとなってしまった。
当初予定していた飛行プランとは異なる飛行をしており、それに伴う操縦ミスが原因だが、観客の安全を確保する為に十分離れた場所に客席を設けなかった、燃料不足でリハーサルが行えなかったなど、運営側の過失も大きい。
ワースト9位
★リヴィウ航空ショー墜落事故★
発生日時 | 2002年7月27日 |
所属部隊 | ウクライナ軍 |
機材 | ツポレフSu-27UB |
墜落地 | ウクライナ・スクヌィーリウ空軍基地 |
犠牲者 | 85人(観客) |
★機体
ロシアの誇る超高性能戦闘機。改良型はアメリカのF15イーグルに匹敵する程の性能を誇り、今なお旧ソ連諸国などでは現役の戦闘機として絶大な信頼を得ている。
★事故概要
ウクライナ空軍の展示飛行チーム「ウクライィーンスィキ・ソーコルィ」所属の2名のパイロットが、空軍所属のSu-27UBを使用して、アクロバット飛行を披露している最中にコントロールを失い、地上、他の飛行機に接触。制御不能となり観客エリアに墜落、爆発炎上した。
パイロット2人は脱出して無事だったが、大勢の観客が死亡。バラバラになった遺体が散乱する、史上最悪の航空ショーとなってしまった。
当初予定していた飛行プランとは異なる飛行をしており、それに伴う操縦ミスが原因だが、観客の安全を確保する為に十分離れた場所に客席を設けなかった、燃料不足でリハーサルが行えなかったなど、運営側の過失も大きい。
ワースト10位
★モロッコ空軍ロッキードC-130墜落事故★
発生日時 | 2011年7月26日 |
所属部隊 | モロッコ空軍 |
機材 | ロッキードC-130ハーキュリーズ |
墜落地 | モロッコ・ゲルミン |
犠牲者 | 80人全員 |
★事故概要
ダフラ空港からケニトラ空軍基地を目指していた、輸送機が悪天候のため墜落した事故。軍人や民間人など80人が死亡した、同国最悪の航空事故。
国家元首の命令により、3日間全国民が喪に服した。
ワースト11位
★アルジェリア軍輸送機墜落事故★
発生日時 | 2014年2月11日 |
所属部隊 | アルジェリア空軍 |
機材 | ロッキードC-130ハーキュリーズ |
墜落地 | アルジェリア・ムエルブアギ |
犠牲者 | 77人 |
★事故概要
兵士やその家族を乗せて飛行中だったアルジェリアの空軍機が、同国北東部の山中に墜落した事故。77人が死亡したが、1人は奇跡的に生還した。
原因は強風と大雪を伴う悪天候とされる。
ワースト12位
★米輸送機クラーク空軍基地墜落事故★
発生日時 | 1964年5月11日 |
所属部隊 | アメリカ空軍 |
機材 | C-135ストラトリフター |
墜落地 | フィリピン・クラーク空軍基地 |
犠牲者 | 73人全員(搭乗者) |
犠牲者 | 1人(地上) |
★機体
アメリカ空軍の輸送機。「ストラトリフター」は愛称。
★事故概要
フィリピンのルソン島にあった米クラーク空軍基地手前800mの位置で、米軍輸送機が墜落した事故。搭乗員73名と地上の住民1名が死亡。搭乗員のうち10名は助かった。
C-135は軍事用ジェット輸送機の先駆け的な機体。
ワースト13位
★ラムシュタイン航空ショー墜落事故★
発生日時 | 1988年8月28日 |
所属部隊 | イタリア空軍 |
機材 | アエルマッキMB-339 |
墜落地 | ドイツ・ラムシュタイン空軍基地 |
犠牲者 | 3人(搭乗者) |
犠牲者 | 67人(観客) |
★機体
イタリアの軽攻撃機。航空ショーでの使用や練習機として活用されることも多い。
★事故概要
ドイツで行われていた航空ショーの最中、イタリア空軍のアクロバットチーム「フレッチェ・トリコローリ」に所属する3機が空中衝突し、1機が30万人が見守る観客席に一部に墜落した。
パイロット3人、地上の観客67人が死亡する大惨事であり、航空ショーにおける二番目の惨事として、歴史に名を残すことになってしまった。
ワースト14位
★アメリカ海軍ダグラス DC-6墜落事故★
発生日時 | 1955年3月22日 |
所属部隊 | アメリカ海軍 |
機材 | ダグラスR6D-1リフトマスター |
墜落地 | ハワイ・ワイアナエ山脈 |
犠牲者 | 66人全員 |
★機体
ダグラス社製のDC-6(大型レシプロ旅客機)から派生した海軍仕様の軍事用輸送機。DC-6は世界有数のベストセラー機。
★事故概要
ハワイオワフ島からカリフォルニアを目指すアメリカ海軍機に計器の故障が発生。飛行の続行は不可能と見て、ヒッカム空軍基地へ引き返し始めたが、航法を誤りワイアナエ山脈に激突した。
ワースト15位
★アメリカ陸軍航空軍北京南苑空港墜落事故★
発生日時 | 1945年10月12日 |
所属部隊 | アメリカ陸軍航空軍 |
機材 | カーチスC-46コマンドー |
墜落地 | 中国・北京 |
犠牲者 | 59人全員 |
★機体
第二次世界大戦中、ダグラス社のDC-3(C-47)と並んで、アメリカ軍の主力輸送機として活躍した機体。埼玉県所沢市にある航空記念公園で見ることが出来る(C-46A型)。
★事故概要
アメリカ空軍の前身である陸軍航空軍が、中国の軍人を北京に輸送中に放送塔に激突・墜落した事件。
航空法のシステムや設備が未整備だったことによる。
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