【ライトサイド VS ダークサイド】テロリストはなぜ生まれるのか?(2人の少女の物語)

マララとナビラの物語

同じような境遇にありながら、その評価が真っ二つに分かれる2人の少女がいる。

少女の名はマララ・ユスフザイとナビラ・レフマン。

彼女たちの境遇がテロを生むメカニズムとは何かを鮮明に語っている。

欧米諸国がこの事実から目を背け続ける限り、テロリストの誕生を阻止することはできない。

彼女達には実に多くの共通点がある。

共に10代。パキスタン北西部出身で、2人の家は距離にして400㎞程の位置にある。父親は教師で、彼女達は同じ2012年の10月に戦闘に巻き込まれ、負傷した。

だがここから2人の人生は全く違う方向に動き出す。

マララ・ユスフザイ

1997年生まれ

2012年10月9日、中学校からの帰り道に乗っていたスクールバス場襲撃され、頭部と首に銃弾を受けて負傷するが、一命は取り留めた。マララが15歳の時のこと。

パキスタンタリバン運動(TTP)が声明を発表した。欧米化する教育機関と、その教育を受ける生徒を抹殺する為の襲撃だった。

国連本部で演説し、「銃弾で人間の行動は止められない」と語ったのを始め、各国で演説を行い、イスラム地域で軽視されている女性の教育への重要性を訴えた。

アメリカを訪問した際には、オバマ大統領自らがホワイトハウスで出迎えた。

2014年ノーベル平和賞受賞。史上最年少(17歳)での受賞となった。

「2014年最も影響力のあるティーン25(タイム誌)」にも選出。

【世界の光と影】テロリストはなぜ生まれるのか?(2人の少女の物語)
(著書『わたしはマララ』)

ナビラ・レフマン

2012年10月24日、祖母のモミナ・ビビや兄弟達と畑仕事をしていたところを空爆に会い、祖母は即死、自身も腕にけがを負った。

空爆を行ったのは、CIAが運用している無人爆撃機ドローン。武装勢力に対する爆撃用で、当初は武装勢力への爆撃が成功したと報じられたが、実際に攻撃されたのは無関係のレフマン一家だった。

この明らかな誤爆に対する釈明・謝罪・賠償は一切行われていない。

この事件に対する説明責任を果たしてもらおうと2013年に渡米。アメリカ下院議員議会で惨状を訴えようとしたが、公聴会に出席した議員は435人中、わずか5名だった。

ここにきてドローンによる誤爆など、民間人の犠牲者に関する情報が次々に上がってきている。

【世界の光と影】テロリストはなぜ生まれるのか?(2人の少女の物語)

CIAから流出した2010年から2011年のデータによると、ドローンの攻撃対象とされ殺された800人以上の内、少なくともその半数が民間人である一方、アルカイダ幹部として特定できたのは、たったの6人だけです。

武装勢力一人を攻撃するのに対し、30人の民間人が犠牲になっているという報告もあります。

ロンドンの非営利団体「調査報道局(BIJ)」によると、パキスタンではこれまでに421回の無人機攻撃があり、約4000人が殺害された。そのうち約4分の1が民間人だったという。

シリアなどでも同様だ。

 在英のシリア人権監視団は20日付の声明で、ロシア軍がシリア空爆を開始した9月30日以降、同軍の攻撃による死者数は1331人に達したと発表した。  

監視団は「このうち403人が民間人」と指摘している。

戦闘員では、国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」など反体制派547人が死亡。過激派組織「イスラム国」のメンバーは381人が命を落としたという。

結局のことろ有志連合の言い分は、

「正義の実現の為には、多少の犠牲は付き物だ」

「だから犠牲は犠牲らしくおとなしく、寝ていろ!」という2つなのだろう。

『やりたい放題の悪に虐げられるかわいそうな小市民と、それを助ける正義のヒーロー』

マララの存在は、自らの正義を貫く為の大義名分として大いに活用できる。

だが、ナビラの存在はどうにもマズイ。

孫悟空が敵を倒す為に放った「かめはめ派」で、近くにいた無関係の民間人がちぎれ飛んではアウトなのだ。

ヒーローとは「敵を倒す」のではなく、「敵だけを倒す」ものでなくてはならないのだ。

正義とは・・・実現されるべき究極的な価値。

倫理、合理性、法律、自然法、宗教、公正ないし衡平にもとづく道徳的な正しさに関する概念である。

などと言うが、いつの世も絶対的な正義など存在しない。

所詮正義とは「強者の正義」でしかない。つまり強者にとって「実現されるべき究極的な価値」であり、弱者にとっての「それ」ではない。

そうした一方的な「正義」が新たな暴力の連鎖を生むという現実に、欧米諸国は未だに気付いていない。

いや、気付いていないふりをしているだけなのだ。

兵器の開発や覇権争いなど、今後の国益の為。

正義のヒーローを演じ、自己満足に浸る為。

そうした極めて自分勝手な目的を達成させる為に、今日もまたテロリストは意図的に生み出され、「多少の犠牲」はまた闇に葬られていくのだ。

「攻撃と復讐を繰り返しても、解決には結びつかない。安易に戦争に向かっても、平和は訪れない。」

そう語る11歳の少女の言葉は、武器を持つ世界中の大人たちに、どのように映るのだろうか・・・

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