「ベトナム人が研究用のヤギを盗んで食べた挙句、窃盗罪で逮捕された」
こんなニュースがあったことを覚えているだろうか?
岐阜県美濃加茂市の里山で「ヤギの除草隊」として活躍し、人気だったヤギを盗んだとして、県警関署などは4日、愛知 県春日井市牛山町、無職、レ・テ・ロック容疑者(30)らベトナ ム人の男3人を窃盗容疑で逮捕。
レ容疑者ら2人は「解体して食べた」と供述し、1人は否認し ている。
容疑は2014年8月9日夕から10日朝にかけ、美濃加茂市山之上 町の岐阜大の研究用農場からヤギ2匹(計約7万円相当)を 盗んだとしている。
盗まれたのは、除草費用削減のため同市が手がける「ヤギ の除草隊」約20匹のうちの2匹。首輪二つが残されているの を飼育していた岐阜大職員が見つけ、盗難の被害届を出して いた。
食べられたと聞いた市土木課の除草隊担当、酒向一也さん (37)は「触れ合いを楽しんでいた子供たちもショックだろう」と 残念がった。
岐阜大応用生物科学部の八代田真人准教授(42) は「文化の違いもあり、家畜には食材としての役割もあるので 割り切るしかない。
ただ、他人のヤギを盗むのは許せない」と話 した。
毎日新聞
勿論窃盗自体は絶対にやってはいけない重大な犯罪だが、異文化における相互理解という観点からは、非常に興味深い事件だった。
その為ネットの記事をプリントアウトしておいたことを思い出した。
日本人からすれば研究用のヤギを取って食うという発想にびっくりし、おそらくベトナム人からすれば、食用であるはずの家畜が研究用に大切に飼育・利用さいていること自体にびっくりしたのだろう。
私も若い頃はバックパックを担いで世界中旅をした。
そこでは文化の違いから来る、いくつもの感覚の「ズレ」に 出くわしたものだ。
エジプトの大学に留学していた時に、仲良くなった肉屋のエジプト人に不思議そうに尋ねられたことがある。
以下がそのやり取りだ。
普通の日本人にはピンと来ないだろうが、これが文化的な背景の違いからくる「ズレ」だ。
エジプトには鳩を食べる食文化が存在する。
それも鳩は超高級食材であり、牛肉のように肉質により、いくつものランクが存在する程だ。
エジプトで養鳩場と言えば非常に高いステータスと冨の象徴であり、故にエジプト人男性にとって養鳩場を持つことは夢なのだ。
こんな感じだ。
ちなみに日本にやってくるエジプト人の知り合いは、たいがい上野公園辺りに生息している鳩を一度は食べる。
そして必ずこう言う。
でしょうね・・・
エジプトの鳩は最高の餌、最高の環境で飼育された超高級食材だ。
しかも自らの羽根で飛び回るようになると、骨や筋肉が発達し、筋張ってしまう為、旨くない。
巣からまさに飛び立つその瞬間の鳩が、一番高いと聞いたことがある。
目の前にあるものは何でも食べ、自由に飛び回る日本の鳩が美味い訳が無い。
彼らは自信満々にこうも言う。
って・・・
いや、だから違うって・・・
そこじゃないのよ。
日本人は公共の物を勝手に食ったりしないし!
そもそも鳩を食べる習慣自体無いんだって・・・
鳩は平和の象徴だって言ってんだろ!!!
異文化理解とは実に難しい。