【正反対の沈没事故を比較】『タイタニック号』VS『セヴォル号』

『セヴォル号』沈没事故

2014年4月に起きた韓国の旅客船セヴォル号沈没事故。

多くの高校生を中心に304人が亡くなった惨事への対応を巡って、殺人罪で起訴されていたイ・ジュンソク(70)元船長に、2015年11月大法院(最高裁)は無期懲役の判決を言い渡した。

乗員乗客を船に置き去りにして、自分達だけ脱出した行為が殺人罪と断定された訳だが、もうそれ程残りも多くない人生。

多くの子供達を見捨てた殺人者として、死ぬまで塀の中で過ごすのならば、子供達と共に海に沈んだほうがよっぽどましだったと、今頃後悔しているに違いない。

一方パリの同時多発テロで襲撃された劇場バタクランで、89人もの人間が死んだのは、多数の人間が自ら盾になったからだと、演奏を行っていたバンドのメンバーは言う。

「こんなにも多数の死者が出た理由は、多くの人々が友達を見捨てなかったからだ。実に大勢の人々が、あえて楯になったんだ。」

(イーグルス・オブ・デス・メタル)

タイタニック号とセヴォル号の類似点と相違点

話を戻すが、セヴォル号と言えば、ネットでは1912年に沈没したタイタニックとの比較が頻繁になされていた。

類似点はいくつかあるが、特に注目を集めたのが生存率の低さ。

100年前の4月10日に水深4,000mの大西洋のど真ん中で沈んだ、タイタニック沈没事故における生存率は32%。(生存者710人/乗船総数2,224人)

対して水深37mの陸地近くで沈没したセウォル号の生存率は37.6%。(生存者179人/乗船総数476人)

そして最大の相違点は何と言っても事故直後の船長以、乗組員の行動。

乗客に待機を支持し、自分達は真っ先に脱出。その後も船長が 病室で濡れたお札を乾かす様子がTVで放送されたり、病室では乗客を装うなど、その無責任極まりない行動が明かり見に出たセヴォル号の乗組員。

一方のタイタニック号沈没事故では、船長・航海士・船体設計者らが、最後の最後まで乗客の救助に当たり、自らは沈みゆく船と最期を共にした。流石はイギリス、Sir(騎士)の国だ。

Samuraiの国『日本』

そう言えば知り合いのイギリス人が「英国はSirの国だが、日本はSamuraiの国。タイタニック号の船長が日本人でも、同じように逃げなかっただろう」と言っていた。

そこで大好きなひとりの侍を思い出した。

『もしドラ』ならぬ、【もし備中国藩主清水宗治が『セウォル号』の船長だったら?】 なんて本はどうだろうか?

清水宗治は義を重んじ、職務や宿命(さだめ)を全うする為には、自らの命を賭すことすら厭いとわない武士〔もののふ)の国を代表する侍のひとりだ。

もし船長が清水宗治だったら・・・

飯盛山で自刃した白虎隊の志士だったら・・・

家康の「徳川家の天下取りの為に死んでくれ」の問いかけに、「有り難き幸せ」と快諾し、見事散っていった 鳥居元忠だったら・・・

忠臣蔵でお馴染みの赤穂浪士・大石内蔵助だったら・・・

太平洋戦争で祖国を守る民に、自ら米艦に突っ込んでいった 特攻隊の隊員だったら・・・

セヴォル号の船長が引き起こしたような悲劇は、起こっていなかっただろう。

2013年10月に踏切にしゃがんでいた老人を助けようとして踏切に入った女性が、電車にはねられて死亡する事件が起きたが、自分に命と引換えにしてでも他人を助けようというのは、並大抵のことでは出来ない。

勿論そんな修羅場が起きないことが一番だが、万が一その様な場面に遭遇したならば、Samuraiの子孫らしく、正々堂々と行動したいものだと、常々思っているのだが、さてどうなることやら。

清水宗治(1537年~1582)

戦国時代に活躍した武将。

織田信長の家臣であった豊臣秀吉が、中国地方の毛利家を攻めた所謂「中国攻め」。清水宗治は毛利家に組みし、高松城に篭城して秀吉に抗戦。

秀吉からの「降伏すれば備中国(今の岡山県西部)を与えるとの破格の提案にも、毛利家への忠義を貫き、断固拒否。最後は世に名高い「秀吉の高松城の水攻め」として知られる、過酷な兵糧攻めに苦しめられる。

飢餓や疫病によって城内は地獄絵図さながら。高松城の陥落は時間の問題だった。

しかし本能寺の変が勃発。明智光秀の討伐に一刻も早く向かいたい秀吉は、城主である清水宗治の命と引換えに、城内の兵を助命するという講和条件を提示する。

喜んでこの条件を飲んだ宗治は、早速船で秀吉陣営まで赴き、見事船上にて切腹してはてた。

【正反対の沈没事故比較】『タイタニック号』VS『セヴォル号』

身を挺して部下の命を守った宗治の行動は、「武士の鑑」として称えられ、その後の日本が誇る、気高い精神道である「武士道」に、大きな影響を与えたと言われている。

 

◆清水宗治(1537年~1582)

 

 

 

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