定価の無い「お布施」
何かとお金のかかる葬儀。
だからこそそこには様々なトラブルが潜んでいます。
以前ブログに『終活読本ソナエ』の記事に対する意見を求められたので、ぶっちゃけたことろを書いてみたいと思います。
Q.お布施で500万円請求された!
えっ?
写真が下品すぎるって???
やだな~
イメージですよ、イメージ。
◆トラブル1 「500万円の請求は高過ぎだ…」×「気を使って僧侶を多く呼んだのでは?」
【遺族の言い分】会社経営をしていた父の葬儀で、戒名料(布施)を500万円請求されました。
呼んでもいないのにお坊さんは4人も来ました。高過ぎませんか?
亡くなって間もなくのことでドタバタしていて、納得がいかないものの言われた通りに払いました。
最近、戒名はもっと安くてもつけてもらえることを知り、後悔しています。(東京都渋谷区の男性)
【寺の言い分】会社経営をされていたということで、葬儀が社葬の性格を持ったものとして行われたのかもしれません。
会社も隆盛だったのではないでしょうか。寺の側も、隆盛を誇っている会社経営者の葬儀であるのなら「会社の状況に恥ずかしくない対応をしなくてはいけない」と判断した可能性があります。
いずれにしても、日頃からの寺と檀家(だんか)との関係が希薄になっていたため、お互いの認識にズレが生じてしまったと思われます。(東京都台東区の僧侶)
【葬儀社の言い分】寺、あるいは葬儀社とのコミュニケーションが取れていなかったケースだと思います。
会社を挙げた葬儀であれば、戒名料などは1千万円を超えるようなケースもまれにはあるのが実態です。
500万円だから高いと即座に決めつけられるものでもないです。(北関東の葬儀業者)
A.お布施の金額は青天井
はっきり言って、
取れるところからは、ガッツリ取る!
取れなさそうなところからも、取る努力を怠らない!
取れないところからも、取ることを諦めない!
これお布施の常識です。
僧侶の人数はお布施の額で決まる
頼んでもいないのに僧侶が4人も来て、500万円請求された!と言っていましが、そうではありません。
まずは金額ありきです。
お寺はお布施は500万円くらい取れる家だと踏んだのです。
その上で500万円も取っておいて坊さんは1人、或いは2人しか来なかった!と言われない為に、僧侶が4人来たのです。
僧侶の数に応じてお布施が上がるのではありません。
基本的にはお布施の額に応じて僧侶の数が変わるのです。
勿論非常に高いお布施を払っても、基本坊さんが1人しか来ないお寺もあれば、どんなに安くても2人(大抵は親子)で来るお寺もありますので、全てではありませんが、セオリーは払ったお布施の額に応じて僧侶の数が決まると思っておいて間違いありません。
お布施の金額
お布施の金額は主に戒名のランク、その寺の寺格、それまでの付き合い(先祖の戒名やそれまでのお布施の額)などによって大きく異なります。
非常に寺格の高いお寺では、そもそも基本プランが『100万円~(僧侶は当然ひとり)』というお寺もありますので、一概に4人で500万円が高いとは言えません。
そのお寺のスタンダードを把握した上で、素直にその額を包むのか、はたまた価格交渉に臨むのか、或いは逆に今後の付き合いや寺との関係を考慮して、色を付けるのかを事前に熟慮しましょう。
直接寺とのやり取りが出来ないのであれば、葬儀屋の担当に間に入ってもらえないか、相談してみるのも手です。
その場合遠慮せずに自分の意向を伝えることは勿論ですが、親身になって交渉にあたってくれる葬儀屋を選ぶことも大切です。
話を戻しますが、お互いの認識にズレだの、コミュニケーションが取れていないだの言っていますが、要は信頼できる葬儀屋を選べなかったことと、寺と事前にお布施の額すら決めておかなかった喪家の責任です。
【時価の食材】は食べてしまってからとやかく言っても、後の祭りです。
お寺の言い分を代弁
最後のお寺の立場からも一言。
檀家離れや景気の減退によるお布施額の低下などの影響もあって、確かに寺を維持していくのは、非常に大変な時代に突入しています。
特殊な建物である寺社仏閣は、維持するだけでも莫大な費用がかかるのも事実。
寺の仕事とは別に、本業や副業を持っているお坊さんも珍しくなくなりました。
皆さんが思うほど『坊主丸儲け』などという、甘い時代ではありません。
彼らもまた必死なのです。