今週のお題「ゾクッとする話」
大きな特徴と言えば怒られ慣れていない、打たれ弱い、ストレス耐性が弱い・・・散々な言われ様のゆとり世代。
そんなゆとり世代を叱ったら、とんでもない事態が待ち受けていた!
(Photo by Thomas Leuthard)
※デリケートな問題の為、ネタバレしないよう、細かい設定は微妙に変えてあります。核心部分は全て事実です。
本業とは別に、知人の会社経営する会社で昔培ったITの技術を活かして、とある案件に携わっている。
遊びがてらに夕方からお邪魔し、何やかんやで7時過ぎ。飲みにでも行きますか~なんて話をしていると、会社の電話が鳴った。
どうやらゆとり世代のA君(仮名)からの電話らしい。
指名され電話を変わる社長。
「えっ?A君それはちょっと違うだろ?」
段々険しくなる社長の声。
温和な社長には珍しく、結構きつめに10分程説教して終了。
「いやいや参ったよ・・・」
戻ってきた社長は、こちらから聞く前に電話の内容を話し始めた。
「実はA君が・・・」
話をまとめると、A君が仕事でヘマをして、会社に損害が出たらしい。
先に断っておくが、この会社は十数年続く物流の会社で、社員は十数名。それ程大きくは無いがとても良い会社だ。中小零細企業だけに、完全にクリーンとはいかないかもしれないが、所謂ブラック企業とは程遠い会社だ。A君もゆとり世代ということを十分に考慮して、大切に育てられていた口だ。
社長も基本的には温厚で常識人だ。新人として会社にある程度の損害を出すことなど、想定内だと言っていた。
社長が頭にきたのは本人が新人はミスを犯すのは仕方のないことだと開き直り、半笑いで電話をかけてきたことらしい。
会社として損害が出ているのだし、当の本人がその態度ならそりゃあ怒られて当然だ。
しかも横で聞いていたが、確かに優しくは無いが、至って常識の範囲内での怒り方だ。
まさかそれがとんでもない事態を引き起こすとは・・・
実は私がその会社を訪れたのは、翌日A君と社長と私の3人でとあるイベントの視察をする予定があり、その為の資料を届ける為だった。
翌朝予定通り会社に伺うと、社長が青い顔をしながら飛んできて、私にこう告げた。
社長「さっき両親から電話があって、A君がまだ家に帰っていないらしい・・・」
A君は東京出身で今も都内で親と同居している。昨日は例の電話で、社長がそのまま直帰するように言っていたので、20時くらいには家に着いているはず。
やりますな~親にだまって外泊ですか。
「僕もA君くらいの頃まだ親と同居していましたが、親に黙って外泊なんてしょっちゅうでしたよ。」
軽口をたたく私をよそに、頭を抱える社長。
「君と違ってA君は今まで無断外泊なんて、今まで一度も無いらしいんだよ。」
「君と違って」とはどういうことですか?と問いただしたいところをぐっと我慢しつつ、とりあえずA君の携帯に電話してみた。
プルルルルル・・・
呼び出し音だけが虚しく響く。
内心では車をその辺に止めてやけ酒でもして、車内で寝ちゃったに違いないと思っていたのだが、ああだこうだいっても仕方がない。(A君は車通勤)
取り敢えず視察予定のだった目的地に向けて出発した。
一時間程して目的地に着くとすぐに、社長はA君の両親に電話した。
私の思惑をよそに事態はさらに深刻になっていた。
始業時間を大幅に過ぎても出社してこないことを確認したA君の母親が、警察に捜索願いを出したらしいい。
それを受けて警察がA君の携帯の電波を調査。
会社と自宅の中間地点で、A君の車が乗り捨てられているのが発見された。
乗り捨てられた無人の車、車内には携帯・・・
流石にこうなってくると、嫌な予感がする。いや、むしろ嫌な予感しかしないと言うべきか。
(いやいやまさか・・・損害と言っても10万~MAX20-30万円程度、しかも正確に言えば利益が減る(それでも儲けは有る)という意味での損害だ。
100%A君のうっかりミスだし、報告時のA君の態度等も合わせてしっかりと反省しなければならないことだが、この失敗を糧に成長してくれれば安い授業料だろう。
「いやいや、まさか・・・」
二人の口をついて出るのはそんなセリフばかり。視察どころではない。取り敢えず休暇中だった一番近くに住む社員に頼み込んで、現場に向かってもらった訳だが、事態は更に悪い方に動き出す。
「社長、大変です!車内から遺書らしき物が発見されました・・・」
両親と合流し、車内を検めた社員からの電話に、即刻視察を中止し車に飛び乗った。
運転する社長の顔は青ざめ、手は小刻みに震えていた。危ないのですぐに運転を変わったが、社長の目は完全に焦点を失い、いつ何時ドアを開けて車外に飛び降りやしないかと、終始ヒヤヒヤものだった。
会社に戻り、社員からの連絡を待った。時間の経つのがえらく遅く感じられた。ジリジリと時間だけが過ぎてゆき、この時間が永遠に続くのではないかと思ったその時、けたたましく電話が鳴った。
「社長、見つかりました。生きてます!!!」
社長が受話器を取るなり、電話口から隣にいても聞こえるほどの大声が響いた。
その瞬間、社長が崩れ落ちた。
細かくは語れないので、要点だけをまとめる。
実際A君は自殺を図った。
ところが若干勇気?が不足していたのと、そこに偶然が重なって一命を取り留めた。
現在は病院に搬送され、手当を受けている。原因はプライベートで面白くないことがあり、気持ちが落ち込んでいたことろに社長から怒られ、かっとなって事に及んでしまったとのこと。
親にも怒られた記憶が無いのに・・・と病院で涙を流したらしい。
なめてんじゃねーぞ!コノヤロー!!!
今の30代くらいまでの人間は、人生の先輩(親・先生・先輩)から、時に致し方無く、時に理不尽に・・・当たり前に怒られ、どやされ、脅され、殴られて生きてきたんだよ!!!
多少口で怒られたくらいで、ガタガタ言ってんじゃねー!!!
両親からは「取り敢えず少し休ませて欲しい」との申し出があったそうだが、どう考えてもこの先彼が会社に戻ってくることはないだろう。
A君や両親も心に大きな傷を抱えてしまったが、何よりも一番の被害者は社長だ。
社長には全くといって良い程非がない。何度も言うが、決して優しくはなかったが、社長の怒り方は十分に許容範囲だった。
殆どの時間を感情的に責めたり罵るのではなく、理論的に何が悪いのかについて説明するのに費やしていた点も、念の為書いておきたい。
可哀想にその事件以来、社長は若干対人恐怖症の毛が芽生えてしまった。
人との距離の取り方に苦慮していることが、ひしひしと感じられて、見ていて痛々しいと、この前社員が電話で言っていた。
しゃちょー!断じてあんたは悪くない!!!
ゆとり教育なんてレールを敷いた国と、教育を学校任せにして子供を叱るという基本的な躾さえしてこなかった親が悪いんだよ!
小さいながらも「若者の雇用を支えられる企業」の理念を追求し続けるあんたはエライよ!
勿論自分はA君とは違うのに「ゆとり世代」で一緒くたにされる人間も大勢いるだろう。彼らは可哀想だ。
だが、ゆとり世代=ストレートに怒れない、というイメージが定着しているところからしても、A君の様な人間も多いのは事実だろう。
これしか言えない自分が悔しいが、敢えて言わせていただきたい!
人生なんて怒られてなんぼ!むしろ怒られるいるうちが華なんだよ!!!