危険ドラッグ白書
警察が去年1年間(2014年)の危険ドラッグに関するデータを発表した。
使用者の平均年齢は、覚せい剤の41.7歳よりもかなり低い33.4歳。
蔓延を食い止めるべく、【脱法ハーブ】から【危険ドラッグ】へと名称変更を実施したが、若者を中心に危険ドラッグの裾野が広がっていることは、非常に残念だ。
『自分は絶対に1回でやめる自信があった』
『自分は絶対に薬に飲まれない自信があった』
殆どの逮捕者がそういった言葉を残すそうだが、それほど強い意志があると信じているのならば、その強い意思の力を、別の方向に活かすことを考えて欲しいものだ。
池袋脱法ハーブ暴走事故を振り返る
危険ドラッグが世間の注目を集めるきっかけのひとつとなったのが、池袋で起きた暴走事件。当時の私は現場から歩いて5分くらいの会社に勤務しており、現場は返り道だった。
以下の記事は事件の翌日に現場を歩いた様子を、他の媒体に書き残していたものだ。
少しでも事件の風化を妨げる、参考にして頂ければ幸いです。
「池袋脱法ハーブ暴走事故」の現場を歩く
※この記事は2014年6月25日に書かれたものです。
日本を代表するターミナル駅、JR池袋駅前で起きた、信じられないような惨劇。またしても1人の男の身勝手で、理不尽な凶行により、1人の尊い人間の命が奪われました。
現代日本において、人の命の価値は、いつの間にか軽視され、みるみる値下がりしているように感じられます。
その日何時ものように仕事を終えた僕は、池袋にある会社を出て、家路を急いでいました。
午後8時少し前に電車に乗り、8時30分過ぎには帰宅。池袋での悲劇を知ったのは、夕食を取りながら何とは無しに見ていたTVのニュースからでした。
脱法ハーブを吸った名倉佳司容疑者(37)運転する車が、池袋駅西口前の繁華街にある、歩道を暴走。 次々と通行人を跳ね、多数の死傷者を出す大惨事となりました。
凶悪事件という自分の日常とはかけ離れた内容と、目に飛び込んで来る、日常見慣れた池袋駅の光景が、うまくリンクせず、意味もなく辺りを見わたしていました。
事故のあった19時55分といえば、僕がちょうど池袋駅を出発した数分前のこと。 一歩間違えれば、自分が被害に遭っていた 可能性もあったかと思うと、背筋がゾッとする思いでした。
この事故で命を落としたのは、中国人女性の林雪琴さん(30)。
言葉も文化も違う異国の地で、多くの困難と必死に戦いながら生きてきたのは、こんな最期を迎える為ではなかったハズなのにと思うと、とても悲しく、そして同じ日本人として、恥ずかしい気持ちでいっぱいです。
翌日の帰宅時に改めて現場で足を留めてみることに。もう既に沢山の花や飲み物が手向けてあり、事件の衝撃の大きさを物語っていました。
そのすぐ先には暴走者が激突した、電話ボックスが 不気味に佇(たたず)んでいました。
現場の前で腰を下ろし、お供え物を置き、故人のご冥福を 心から念じながら、暫しの合掌。
日本有数と繁華街、池袋。街は何事もなかったかのように、慌ただしく時を刻み、 いつもの喧騒を取り戻しているように見えました。
しかしそれが逆に言い知れぬ恐怖を感じさせるものでしたが、ここで尊いひとつの命が失われたことは、決して風化させてはいけません。
急激に広がりを見せる【脱法ハーブ】。
思えば先日も25歳の女性が、この薬物の一種を摂取したことが原因で、死亡する事件が起きたばかりです。
【ハーブ】という名前から連想されるものとはかけ離れた、 謂わばタダの【毒物】でしかありません。
【ハーブ】という体に良いモノを連想させるワードに加え、【脱法】という、チョイ悪感を漂わせる言葉が付けられたことが、若者を中心に人気が爆発した大きな要因とのこと。
こうした事態を受け、吉野圭司国家安全委員長は26日に声明を発表。 脱法ハーブという名称が国民に誤解を与えるとして、田村憲久厚生労働相と協議の上、事実上【違法】に近いこの薬物に対し、適正な名称に変更する考えを示唆しました。
議論に最大限の時間を割かなければならない、集団的自衛権については、恐ろしい程の早さでケリを つけようとする姿勢を見せる政府。
一方で即決すべき【脱法法ハーブ】の名称変更については、ようやく重い腰を上げた段階。
お粗末な政府の対応は勿論のこと、自主的にでも名称を変更せずに【脱法ハーブ】を連呼するマスコミにも、重大な責任のがあるあように思えます。
林雪琴さんの死を無駄にしないためにも、しっかりと考えるきっかけとしなければなりませんね。それが本当の意味で日本が彼女にできる、最大にして唯一の罪滅ぼしなのかも知れません。
林雪琴さんの心よりのご冥福をお祈りして・・・