【愛する我が子との別れ】《13トリソミー(パトウ症候群)の愛し子》たった数時間のために生まれてきた命

子供との死別体験談

この世に生まれてくる命がある。

あの世へと帰っていく命がある。

自らの手で断たれる命がある。

生きたくても生きられない命がある。

この世の命の不思議・・・

私は愛する赤ちゃんをたった数時間で亡くしました。

妊娠初期を無事に終え、安定期に入ってからの検診で、医師から「この子は13トリソミーかもしれない」と言われたことは、今でも鮮明に覚えています。

13トリソミーとは染色体の異常から起こってしまうもので、生まれたとしても重度の知的障害や、身体的な異常を余儀なくされてしまうものです。しかも仮に生まれてきてくれたとしても、1歳までに9割の赤ちゃんが死んでしまう病気だとも言われています。

医師からは中絶することを視野に入れた方がいいと言われ、私たち夫婦は一気に絶望の淵に立たされたような気がしました。

なぜ、自分たちの赤ちゃんがこんな目に合わなければならないのか?私の何がいけなかったのか?毎日のように自分を責め続け、心身ともに疲れ果ててしまいました。

互いの両親からは、どうせ赤ちゃんが亡くなってしまうのなら、早いうちに中絶をして、次を考えた方がいいとも言われてしまい、すごく悔しかったのを覚えています。

それが現実的だとしても、私にはお腹の中にいる赤ちゃんが、無駄な命とはどうしても思えなかったのです。 その為、例え僅かの命だとしても、私はこの子に会いたい!会って、あなたはちゃんと私たち夫婦から望まれてきた命なんだよということを、伝えてあげたいと思うようになりました。

お腹の赤ちゃんの気持ちが分からなかったので、この子が本当に生まれてきたかったのかは未だに分かりません。ですが、私はどんなに短い命だとしても、どんなに異常な子が生まれてきたとしても、この子に会って感謝を伝えたかったのです。

こうして生まれてきてくれた子は、1464gの小さな小さな赤ちゃんでした。死産する可能性もあったのに、ちゃんと生きた状態で生まれてきてくれたのです。それだけでも、私はこの子の頑張りに感謝せずにはいられませんでした。私たち夫婦のために、生まれてきてくれたんだなと思うと涙が止まらなかったです。

生まれてきた瞬間にオギャーっと泣くことはありませんでしたが、それでも数回、プキャっと可愛らしい泣き声を聞くこともできました。指は6本あり、鼻の穴は1つしかありませんでしたが、その姿すらかわいく、本当に愛らしかったです。

そうして、生まれてから僅か2時間後、次第に赤ちゃんの心音が弱まっていき、私の赤ちゃんは亡くなりました。とっても悲しかったけど、それ以上に幸福を味わえた経験でした。今ある幸せが当たり前のものではないことも、再確認できました。

近年では、出生前診断などで中絶する人も多いかと思います。ですが、私はあの子を出産することが出来て本当に幸せでした。もちろん、未だに悲しくて悲しくて眠れない日もあります。ですが、産むことを決断したことに1ミリも後悔はしていません。

いつか、私も亡くなる時がきたら、その時は天国で、もう一度最初から、あの子の子育てをしてみたいと思います。

 

当時(故人)の年齢 0歳

死因 染色体異常

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