【日本最初の原発可動から50年】原発が我々に問うたモノとは?

福島第一原発が露呈した日本の闇

2015年8月11日。九州電力が川内原発1号機を再稼働させた。

思えば2013年3月に、東日本大震災による福島第一原発事故が発生。原発そのものに対する安全基準の見直を迫られた結果、全国の原発が次々と稼働停止へと追いやられた。

その結果2013年9月に関西電力大飯原発(福井)が、最後の稼働を停止してから、日本国内で稼働する原発は皆無となった。

今回の川内原発の運転再開は、日本国内では実に1年11ヶ月ぶりの原発稼働となる。

当面は安全確認の為の試運転期間となるが、今後は徐々に出力を上げ、9月中旬には営業運転を再開させるとのこと。

【日本最初の原発可動から50年】原発が我々に問うたモノとは?

福島第一原発事故以来大幅に高められた安全基準をクリアした為、4年3ヶ月ぶりに再稼働された川内原発だが、原発の補助金を受けたい地方自治体の思惑もあって、今後は安全基準がクリアされた原発から、順次再稼動されていくことが予想される。

日本の科学者の中には、事故よりはるか以前から福島第一原発の危険性を指摘し続けてきた研究者もいた。しかし東京電力や政府がそれを長年無視し続けてきた結果、あの様な悲劇を招いてしまった。

今回の原発の稼働は安全性が確保できたことに加え、原発無しでは経済的安定が図れないとする政府の見解なのだろうが、再稼働させたからには周囲の声に真摯に耳を傾け、二度と福島原発の様な事故を起こさぬように配慮してもらいたい。

奇しくも1965年に日本最初の商業用原子力発電所となる、東海発電所が稼働してから50年。原発は我々に様々な問題を投げかけてきた。

私はある意味で福島第一原発問題は、日本の社会が抱える「闇」の縮図のように思えてならない。

【日本最初の原発可動から50年】原発が我々に問うたモノとは?

最初に作られた東海発電所以来、2013年の福島原発事故当時、53基程度の原発が稼働していたとされる。

地震や津波、火山噴火に台風・・・

自然災害大国のこの日本で、そのひとつでも事故を起こせば、日本に壊滅的ダメージを与えかねない原発が、53基も存在していたのだ。

私を含めどれだけの人間がこの事実を知っていただろうか?

恥ずかしながら私は全く知らなかった。

『原発は安心だ!』という政府や電力会社の言い分を頭から信じ、原発が『雨後の筍』の如くに作られていく現実に横目に、我々は本気でその安全性に疑問の目を向けようとはしなかったのではないか?

原発の地元は政府による補助金に沸き、国民は低下する電気料金を手放しで喜んだ。

かたや国民から全幅の信頼を置かれた政府や電力会社は、それを良い事に、ろくに調査もせず、ずさんな安全対策の元に、新たな原発を作りまくった。

政府は環境にやさしく、高度な技術を必要とする原発を、鼻高々にアピールすることに躍起になり、電力会社は『自分達こそが日本を支えている』と、我が世の春を謳歌した。

そうした現実の上に、福島第一原発事故という悲劇は訪れたのだ。

国民は一斉に政府や電力会社を非難し、政府は保身と責任転嫁に躍起になった。

当の電力会社は『他の発電方法に切り替える代わりに、電気料金は値上げする!』と開き直り、電力問題は泥沼と化していった。

少し視点を世界に移してみよう。

ヨーロッパなどでは、【オンブズマン】という制度が充実している。

【オンブズマン】とは行政などへの調査権を持つ市民団体で、彼らの『何事も他人任せにしない』という意識が極めて強いことの、ひとつの表れだろう。

問題は異なるが日本で近年問題となった年金問題では、『ユダヤ人なら年金を絶対に国まかせにしない』という本が流行ったことを思い出す。

勿論ヨーロッパ人が人を信用しないのは、裏を返せばそれだけ裏切られてきた歴史があるからとも言える。

一方で日本人は基本的に人を信用し、信用された人間は基本的にはその期待に全力で答えようとする文化がある。

だからこそ、良くも悪くも『他人任せ』となりがちだ。

実際私も日本人として、そうした日本人の心意気や文化に非常に誇りを持っている。

勿論こうした文化は大切にしていかなければならないが、やはり一方で原発のように非常に重要な問題には、きちんと監視の目を向け、「他人任せにしない」姿勢を明確にしていかなければならない。

何故ならば人間は間違いを犯すものであり、他人任せにした結果はやはり自分達に返ってくるからだ。

もうひとつ言わせていただければ、例え人を信用して任せるのならば、万が一問題が起こった時には、一方的に相手のせいにして責め立てることはすべきではない。

自らにも責任を感じ、共に高い次元で問題を解決していく道を考えなければならない。

福島原発が教えてくれた日本の『闇』。

 

授業料はあまりにも高額なものとなってしまったが、だからこそ無駄にしてはいけない。

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