アメコミ(アメリカン・コミックス)の実写化は成功するのに、日本の漫画やアニメの実写化は何故成功しないのか?
『寄生獣 完結編』の実写化映画が好調だった。
前評判の高かった『るろうに剣心』(主演佐藤健さん)は勿論、小栗旬さん主演で実写化された『ルパン三世』も、厳しい前評判を見事に跳ね除け、なかなかのヒットとなった。
最近こうした例はあるものの、長年蓄積されてきた『日本の漫画やアニメの実写化は成功しない』という固定観念は、そう簡単に払拭されるものではない。
確かに漫画やアニメの実写化は一筋縄ではいかないのだろうが、海の向こうの映画の本場に目を向けてみれば、古くは『スーパーマン』などから始まり、誰もが知る映画がずらりと並ぶ。
- 『スーパーマン』
- 『バットマン』
- 『アベンジャーズ』
- 『アイアンマン』
- 『キャプテン・アメリカ』『ハルク』
- 『X-MEN』
- 『スパイダーマン』
- 『ファンタスティック・フォー』
- 『デアデビル』
- 『マスク』
- 『ヘルボーイ』
- 『ロード・トゥ・パーディション』
- 『シン・シティ』
- 『コンスタンティン』
- 『リーグ・オブ・レジェンド』
- 『ブレイド』
特にヒーローものなどは、非常に強い個性を持ったキャラクターばかりだが、原作のイメージを持たない日本人は元より、本国の人間達すら大いに満足させている。同じ強力な個性を持つヒーローものという視点から、日本で『ガッチャマン』が大ゴケしたのとは、対照的だ。
『ガッチャマン』に限らずこの手の映画が多くが、国民のため息とともに、 記憶の彼方に消えていくのが、通例となってしまった感は否めない。
原作の質という意味においては、日本の漫画やアニメが劣っているはずがない。
では何故これ程の差がついてしまうのか?
まっさきに挙げられるのは以下の3つだ
- 予算
- 制作陣(俳優・スタッフ)
- 撮影規制
相手は天下のハリウッドだ。予算は莫大、世界最高峰の制作陣を揃え、彼らのモチベーションはMAX。政府や軍さえも大々的なバックアップを約束する。そんな相手と比べてしまうのは酷かもしれない。
しかし、実は最も大きな違いを生むのが、製作委員会の在り方だと言われている。
この問題は予算と大きな関係があるのだが、アメリカは映画文化の基盤を支える土壌が広くて深い為、日本ほどスポンサー探しに苦労はしない。 いちスポンサー当たりの出資金額が大きく、出資決定も早い。
ところが日本ではそうはいかない。タダでさえアメリカに比べて映画のマーケットが小さく、ヒットする確率が低い上に、映画への理解も低い。
出資者を探すのには時間がかかる。おまけにコケるのを恐れていちスポンサーの出資金は低い。そうなれば当然より多くの出資者を集める必要に迫られる。
出資するなら口も出す。出資者が増えれば、同時に口を出す人間も増える。 やれ自分の好みに台本を書き換えてくれ、やれ自社の役者を使ってくれ、やれ自社商品を使ってくれ・・・
フジテレビドラマ『独身貴族』(主演北川景子さん)。周りの利害関係に振り回され、自分の書いた作品がめちゃくちゃにされそうになった脚本家の話だが、どうやら現実の映画の世界も、似たようなものらしい。
こうして作品の骨格は歪み、世界観は崩れ、めちゃくちゃにされて、人々の記憶の彼方に消え去っていくのだ。
金は出すが、口は出さん!
国民的アニメを実写化する時くらい、多少なりともお互いの利害関係は端に置いとくくらいの、懐の深いスポンサーが日本にも登場するようになれば、「漫画やアニメ原作の映画=駄作」といった固定観念も和らぐのではなかろうか?
余談だが私の勤める葬儀社の社長は、万が一映画のスポンサーになったら(絶対に無いが・・・)主人公に「通夜」と書かれたT-シャツを着せると豪語していた。
ルパンが「通夜」T-シャツ・・・
こんな経営者がいるうちは、映画の質が向上することは期待出来ないな・・・